欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
権田修一が本田圭佑の理想を叶える。
SVホルンが昇格の末に見据えるもの。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph bySV Horn
posted2016/03/10 11:00
昨季はオーバートレーニング症候群に苦しんだ権田だが、ホルンでは明るい表情を見せている。
「日本では受けたことのないシュートが飛んで来る」
さらに権田は、サッカー界に広がるGKの固定観念についても、異を唱えた。
「よく、GKは試合経験を積まないといけないというじゃないですか。試合は当然大事。でも、GKとしてスキルが上がるのは試合か練習かと言われたら、絶対に練習なんですよ。だから僕はもし試合に出られないとしても、本当に強豪クラブで素晴らしい正GKがいるところなら今は喜んで行きたい。強豪であれば、攻撃陣にもレベルの高い選手たちが必ずいる。毎日ゲーム形式でシュートを受けて、そのレベルの高さを目の当たりにして。バケモノたちと練習するわけですよ。それを毎日するだけで、間違いなくスキルは上がっていく。
正直、シュートが1本も飛んでこない試合なら、GKはその試合は誰でも良いと思う。だからフットサルじゃないですけど、ワンサイドでやるならGKはフィールドプレーヤーでいい。ノイアーが凄いのは、シュートを止めるし、そういう要素も持っているから。
ただポゼッション志向の強いクラブにいるだけでは、GKのスキルは上がらない。ノイアーが今も成長し続けているのは、バイエルンの練習で日々ロッベンやリベリー、レバンドフスキのシュートを受けているからですよ。そういう選手のシュートを受けていれば、練習でも必ずレベルアップできる。
よく言うじゃないですか、『良いFWがいるチームには、良いGKがいる』。本当にその通り。僕はまだ公式戦200試合出場はしていないですけど、もっと上を目指して、もっと止められるシュートを増やしたい。ホルンでも、日本では受けてこなかったようなシュートがいっぱい飛んで来る。集中力や試合勘は、練習試合や紅白戦で十分養える。だから僕もGKとして、これから欧州であらゆる可能性を広げたい」
3部リーグは、日の当たりにくい舞台。そんな見た目の印象からは、決して分かり得ないほどの高いモチベーションを、権田は抱えている。欧州で、日本人GKが成長していく道。それは権田にとって、可能性に満ちた挑戦でもある。