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好調鹿島で「汚れ役」を全て担う男。
小笠原満男の背中に若手は続けるか。
posted2016/03/08 10:50
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
遡ること1週間前、鹿島アントラーズはいきなり大一番を迎えていた。開幕戦で、ガンバ大阪が相手で、しかも場所は青と黒が取り囲む吹田スタジアム。そんな難関を力強く突破した。
スコアは1-0の辛勝ながら、内容では圧倒。昨季途中に就任した石井正忠監督が徹底する攻守の切り替えの早さ、それを活かした高い位置からの守備、2トップとサイドハーフ、サイドバックが連動して敵陣のペナルティーボックス脇に侵入する縦に速い攻撃も見られた。
視界良好。昨季のナビスコカップ制覇の勢いを継続し、悲願のリーグ王座奪還へ最高の形で2016年シーズンのスタートを切った――ように、見えた。
小笠原はチームの「対応力」を疑問視していた。
ところが、闘将の意見は違った。G大阪戦の翌日、小笠原満男はこう語っていた。
「今年はチャンスだとか、そういう慢心が一番良くない。去年のナビスコ優勝から良い流れできているし、今年はなんとなくいけるんじゃないかって考えがちだけど、そんなに甘いもんじゃないから。去年ちょっとチームが良かったからって、今年も良いわけじゃない。目の色を変えてやらないと。
実際、プレシーズンマッチやニューイヤーカップを戦ってみて感じたのは、鹿島のサッカーがかなり研究されてきているということ。去年、石井さんが監督になって『前から、前から』という守備をやるようになったけど、俺らが前からプレッシャーをかけたら、単純にその裏へ蹴ってくるチームが増えてきた。そういう時にまだ対応しきれていないし、みんなクエスチョンになっている。『あれ? ボール取れねえぞ』となった時の対応力を磨かないと。自分たちがやろうとしていることがハマっているうちはいいんだけど、対応力はまだまだだよね」
3月5日、第2節のサガン鳥栖戦は、鹿島の「対応力」をチェックするには、絶好の機会となった。鳥栖の強力な武器はボール奪取からの間髪容れぬ速攻と、豊田陽平の頭を目掛けて蹴り込むロングボールとクロス。相手のプレッシャーが強いと見るや、シンプルに豊田の高さに攻撃の活路を見出すチームだから、鹿島にとってはやっかいな相手になる。