球体とリズムBACK NUMBER
FIFA会長選の候補者はどんな人?
王族、弁護士、そして黒い噂も……。
posted2016/02/12 10:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
AFLO
昨年6月にFIFA会長の座を退いたゼップ・ブラッターの後任を決める選挙が、2月26日のFIFA臨時総会で行われる。新たなリーダーには、上級役員の間で総額約2億ドルの賄賂が横行していたとされる腐りきった組織の改革が求められており、FIFAの地に堕ちた名声を取り戻せるかが、その双肩にかかっている。
サッカー界の未来にとって極めて重要な決定が下される日が迫るなか、我々ファンもあらためて5人の候補者を確認しておくべきだろう。果たして、209の各協会は誰を選ぶのか。単なる政治的な駆け引きではなく、このスポーツに対する誠意をもとに貴重な票を投じてもらいたい。
元反アパルトヘイト活動家。だが贈賄疑惑も。
トーキョー・セックスウェイル
国籍:南アフリカ
生年月日:1953年3月5日(62歳)
5人のなかで最もインパクトのある名前を持つ、南アフリカのビジネスマン(空手を愛することからトーキョーと名乗り、ラストネームは「セーワーレ」と発音するそうだが、本人も認めているように普通の英語読みが浸透)。
主にダイヤモンド事業で莫大な財を成す前は、反アパルトヘイト運動のリーダーのひとりとして活動し、1970年代後半から故ネルソン・マンデラ元大統領らと共に政治犯としてロッベン島の刑務所に13年間投獄された過去を持つ。その後、州知事や大臣を歴任し、2010年の南アフリカW杯組織委員会のメンバーとなり、FIFAフェアプレー委員やFIFAの人種差別反対キャンペーンのアンバサダーも務めた。
「美しいこのスポーツを取り仕切る団体の評判は、ひどく損なわれてしまった。私はその傷を癒したい。私はフットボールそのものだ」と情熱的なフレーズを口にしているが、南アW杯の招致時に、悪名高き元FIFA副会長のジャック・ワーナーに1000万ドルの賄賂を渡した疑惑が持ち上がっている。またこの会長選にあたって、地元のアフリカ・サッカー連盟や南アフリカ・サッカー協会からのサポートを得られておらず、出馬を取りやめるように説得されているとも報じられた(2月9日現在、本人は拒否)。マニフェストにも斬新なものはなく、当選の可能性は最も低そうだ。