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FIFA会長選の候補者はどんな人?
王族、弁護士、そして黒い噂も……。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2016/02/12 10:30

FIFA会長選の候補者はどんな人?王族、弁護士、そして黒い噂も……。<Number Web> photograph by AFLO

有力候補の一人、現UEFA事務局長のジャンニ・インファンティーノはCL組み合わせ抽選会の司会でもおなじみ。

モウリーニョら現場の重鎮も認める現UEFA事務局長。

ジャンニ・インファンティーノ
国籍:スイス
生年月日:1970年3月23日(45歳)

 チャンピオンズリーグ組み合わせ抽選会の司会などでおなじみの現UEFA事務局長。5カ国語を流暢に話すスキンヘッドのイタリア系スイス人は弁護士の資格を持ち、2000年にUEFAで職を得る前はイタリアやスペイン、スイスのリーグなどでアドバイザーを務めた。この5年間はミシェル・プラティニUEFA会長の右腕として働き、本来は今回の選挙戦でもその上司をサポートする予定だったが、ブラッター前FIFA会長から200万スイスフランを受け取った容疑によりプラティニが辞退を強いられると、その意向を受け継ぐ形で立候補した。

 クリーンなイメージを持つ気さくなエグゼクティブは精力的に世界中を飛び回り、欧州はもとより、中南米全般やいくつかのアフリカの協会からのサポートを約束されている。また、ジョゼ・モウリーニョやファビオ・カペッロ、アレックス・ファーガソンといった現場の重鎮たちも、「彼が適任だ」と口を揃える。

「改革と良き運営、民主主義と(全協会の)関与、フットボールの発展」を公約の旗印とし、具体的には役員報酬やW杯開催国決定プロセスの可視化、理事の多様化、複数国(地域)でのW杯開催、W杯出場国を40に増加、育成資金の増額などを目指す。

「今やるしかない」とインファンティーノは話した。「我々はこの機会に良識あるFIFAを作り、一致団結してポジティブな方法でフットボールのために努めていかなければならない」

最年少でFIFA副会長を務めたヨルダンの王子。

アリ・ビン・アル・フセイン
国籍:ヨルダン
生年月日:1975年12月23日(40歳)

 ヨルダンの前フセイン王の第3子は、過去にFIFA会長選に出馬した経験を持つ唯一の候補者だ。1999年から同国サッカー協会会長を務め、2000年に西アジア・サッカー連盟を創設した王子は、2011年にAFCを代表して史上最年少のFIFA副会長となり、昨年5月のFIFA会長選にも立候補。ブラッターの唯一のライバルとして73票を獲得したが、結局は前会長の勝利に終わった(その後ブラッターは辞任)。

 長年にわたるFIFA理事としての経験から、この組織に改革が必要であることを常々感じてきたという彼は、「良識ある運営、透明性と説明責任の確保」をマニフェストに掲げ、「理事の任期の設定(最長で4年を2期)、全役員のサラリーの公表」などを約束し、自身は「全責任を負う実務的な会長になる」と決意する。

「物事を正す時が来た」とフセイン王子は綴った。「FIFAを、このスポーツに携わる人々のための組織にしなければならない。これまでの秘密主義と決別し、改革のためにドアを解放する必要がある。未来のために政治的な争いをしている場合ではない。極めてシンプルに、FIFAの良いところをさらに良くし、悪いところを正していくのだ」

 どの大陸連盟からも支援を取り付けていないため、当選の可能性は低いとみられているが、本人は連盟単位ではなく、各協会の裁量を信じているようで、実際にリベリア、エジプト、イラクなどは彼への投票を表明している。そして、あのディエゴ・マラドーナも「ハードワークを続ける善良な彼をサポートする」と明かしている。

※年齢順で掲載

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