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FIFA会長選の候補者はどんな人?
王族、弁護士、そして黒い噂も……。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2016/02/12 10:30

FIFA会長選の候補者はどんな人?王族、弁護士、そして黒い噂も……。<Number Web> photograph by AFLO

有力候補の一人、現UEFA事務局長のジャンニ・インファンティーノはCL組み合わせ抽選会の司会でもおなじみ。

「最も深く考えている人物」だが苦戦の予想も。

ジェローム・シャンパーニュ
国籍:フランス
生年月日:1958年6月15日(57歳)

 元外交官のエリートは、幼少期から愛するフットボールについて「(5人の候補者のなかで)最も深く考えている人物だ」(国際スポーツ記者協会・フットボール部門のチェアマンを務めるケア・ラドネッジ記者)と評されている。だが、1999年から2010年までの11年間にわたってFIFAで要職を務めたことから、同団体の古い体質が染みついているとのネガティブなイメージがあるのも事実。「私には古いFIFAの刻印が押されており、それは私が抱えるパラドックスだ」と本人も認めている。

 1998年のフランスW杯で組織委員会の一員となったことを機にこの世界に入り、その後ブラッターが会長に就任した際に、国際アドバイザーに任命された。以降、外交官時代に培った渉外能力とコネクションを武器に、様々なプロジェクトに携わるかたわら、ブラッターの1度目の再選にも尽力したとみられている。

 6年前に政争に敗れてFIFAを追われてからは、パレスチナやコソボなどで国際コンサルタントとして働く一方でサッカー界の変革を訴え続け、2015年のFIFA会長選では出馬の意向を表明したが、5協会の推薦を得られず断念。満を持して臨む今回の選挙戦では「透明性と親密性の確保と、近代フットボールにふさわしい新たな手法」を公約に掲げているが、母国フランスの協会からも支援しないことを告げられており(同協会のノエル・ル・グラエ会長と激しい口論に発展)、苦戦が予想されている。

新会長に最も近いと目される、バーレーン王族。

サルマン・ビン・イブラヒム・アル=ハリファ
国籍:バーレーン
生年月日:1965年11月2日(50歳)

 現時点で新会長に最も近いと目されている現アジア・サッカー連盟(AFC)会長兼FIFA副会長。バーレーンの国権を握る王族の血を引き、少年時代には同国1部リーグに所属するクラブの下部組織でプレーした経験を持つ。2002年から2013年までバーレーン・サッカー協会会長を務め、その間に代表チームの強化に尽力し、2004年アジアカップで同国史上初の4強進出、FIFAランキングで同国最高の49位に押し上げるなど、一定の成功を収めた。

 ただし、黒い噂もある。今回の会長選挙への出馬を表明した後、アメリカとバーレーンの人権団体から、2011年に同国で起こった民主化運動(バーレーン騒乱)に参加したスポーツ選手が拘束され、拷問に処された事件との関与を指摘されているのだ。「まったくのデタラメだ」と本人はたびたび否定しているが、主に欧州からの反発は根強く、FIFAの大手スポンサーも懸念を示している。

 それでも、すでにアジアとアフリカの連盟のサポートを取りつけたと報じられており、「(会長選は)ジャンニ・インファンティーノと私の争いだ」と本人も自信をのぞかせる。W杯出場国の増加や改革委員会の設置、財政面の強化、組織をビジネス面とスポーツ面に分割するアイデアなどをマニフェストに掲げているが、すべては「各協会やクラブなど、全利害関係者との完全なる協議の上で決めていく」と自身が問われている民主主義を強調している。

【次ページ】 モウリーニョら現場の重鎮も認める現UEFA事務局長。

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