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セリエAの2016移籍金ランキング!
1億ユーロ級は2人、超高額の16歳も。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2016/01/29 07:00
今セリエで最も高い男、ポグバ。ゴールを多く決めるポジションではない選手にこれだけの額が付くのも異例のことだ。
セリエに吹き荒れた中国“爆買い”の嵐。
移籍金額の大きさやチーム内での立場の重要度からいって、スクデット争いを牽引する2人のアルゼンチン人FWが、この冬に移籍する可能性はほぼゼロといっていいだろう。いずれにせよ、100億円を超える大型移籍オペレーションを実行に移せるのは、並はずれた資金力を持つバルセロナやパリSGなど、少数の限られたエリートクラブだけだ。
……そう思われていたが、今冬の市場では中国のクラブが一時話題の中心となった。
セリエAに一刻の“チャイナ・シンドローム”をもたらしたのは中国超級リーグの中位クラブ、江蘇蘇寧だ。
南京に本拠を持ち、昨年12月の経営陣交代によって金満体質となった江蘇蘇寧は、今冬のイタリアに代理人の一団を送り込むと、セリエA各クラブの主力級へ手当たり次第に声をかけ始めた。
支払いの実効性が怪しく、大型移籍がお流れに。
FWエデル(サンプドリア)とMFエルナネス(ユベントス)についてはクラブ側が門前払いしたものの、FWルイス・アドリアーノはミランとの合意の下、一旦は移籍することを承諾した。
ミハイロビッチ監督も「夏に彼を800万ユーロで買い、冬に1500万で売ったのだからクラブはいい商売をした」と、会見でフロントをわざわざ称えたが、江蘇側が契約書に正式なサラリー額を記載しようとしなかったため、支払いの実効性に疑問を持ったL・アドリアーノは土壇場で契約書へのサインを拒否。彼は結局ミラネッロへ舞い戻る羽目になった。
江蘇の代理人が提示した年俸800万ユーロの口約束にほだされたローマのFWジェルビーニョの移籍も流れた。
サバティーニSDは「全部が口約束だけで、江蘇からは(ビジネスとしての)正式なオファーなどなかった」とぼやいたが、ローマにとっては1000万ユーロと目論んでいた移籍金収入がパーになったどころか、金に目がくらんでチームから一度心が離れたジェルビーニョに再びやる気を取り戻させる、という余計な厄介事まで増えてしまった。