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年俸総額276億円、1勝あたり3億円!?
ヤンキースの「金で勝つ」スタイル。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2016/01/28 18:15
昨年、右肘の骨棘(ねずみ)を取り除く手術を受けた田中。復活をアピールするシーズンにできるか。
「今の選手年俸総額はちょうど良いと感じてます」
松井秀喜氏のワールドシリーズMVP獲得などでメジャーリーグ王者になった2009年、ヤンキースはオフの間に当時28歳の左腕C.C.サバシア投手や同28歳のマーク・テシェーラ一塁手らを補強して気勢を上げた。それに比べれば今オフは控え目な補強で、メジャーリーグ・ファンの中に定着しつつある「そこそこ勝つだろうけど、どうせ最後は負けるんでしょ?」というイメージを覆せないだろう。しかし、その「そこそこ勝つだろう」というのが大事だ。
ヤンキースは昨季、ア・リーグ8位の698失点でも、同2位の764得点に支えられてワイルドカードを獲得している。「そこそこ勝つだろう」と書けば、ファンの人々にとっては過小評価に聞こえるかも知れないが、それはヤンキースの場合、「90試合近くは勝って勝率5割を上回り、ワイルドカード獲得を狙える」という意味である。そういう位置にいれば地区優勝も狙えるし、プレーオフにさえ出場すれば、究極の目標であるワールドシリーズ優勝も可能になる。
そういう現状を、ヤンキースは金で買っている。1勝あたり約2億9444万円。8割以上の高確率でのプレーオフ進出は、決して安くはない。
「今の選手年俸総額はちょうど良いと感じてますが、我々はいつだってこのクラブを向上させようとしてます。何が起きるか分かりませんよ。人々を驚かすことだって出来ますからね」
再び、スタインブレナー最高責任者。開幕までに更なる補強の可能性も残されているが、現実的には真夏の緊急トレードの時期を待って、大物選手を獲りに行くのではないか。そんな予感の漂う新年1月である。