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年俸総額276億円、1勝あたり3億円!?
ヤンキースの「金で勝つ」スタイル。
posted2016/01/28 18:15
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
2015年のヤンキースの選手年俸総額=約2億1347万ドル(メジャー出場選手のみ。USAトゥデイほか参照)。1ドル120円なら256億1640万円。
2015年のヤンキースの勝利数=87勝。
1勝するにあたって選手だけに費やした額=約2453万ドル。1ドル120円で換算すれば、約2億9444万円。
日本のプロ野球なら「高額」と呼ばれる選手1人分の年俸を、わずか1勝に費やしている。メジャーリーガーの選手年俸が日本のプロ野球選手と比較できないぐらいに高いと分かっていても、さすがに『それは高いなぁ』と感じてしまう。
そして2016年、ヤンキースの選手年俸総額(年俸調停の予想額を含む)は、2億3000万ドル近くになる。1ドル120円なら、276億円。彼らが今季何勝できるかは分からないが、1勝あたりの額が去年を下回ることはないのではないかと思う。
しかしヤンキースにとっては、何の問題もない。この業界にいる誰ひとりとして、ヤンキースが「プロ野球チームの経営は儲からない」と泣き言を言ったのを聞いたことがないし、ヤンキースの経営陣には、年間2億ドル=240億円超えの選手年俸総額でも、それに優る収益を上げる自信もノウハウもあるのだと思う。
ア・リーグ東地区の優勝なら金で買える。
ヤンキースは史上最多27度のワールドシリーズ優勝を成し遂げた伝統球団であり、過去にはベーブ・ルースやルー・ゲーリッグ、ジョー・ディマジオやミッキー・マントルといった伝説の名選手たちを輩出してきた。
本拠地は白亜の殿堂のようなヤンキースタジアムである。ヤンキースという“ブランド力”と、ニューヨークという世界最大の都市=市場の相乗効果で、巨額のテレビ放映権やスポンサー収入も転がり込んでくる。
だから、1勝あたり2億9444万円かかったって構わない。もちろん、だからと言ってワールドシリーズにいつも優勝できる=メジャーリーグのナンバーワンになれるとは限らないのだが、ア・リーグ東地区の優勝なら金で買える。事実、ヤンキースはそう言えるほどに勝ってきた。
ヤンキースは過去2年こそドジャースにその座を譲り渡しているが、1999年から2013年までの15年間、メジャーリーグ最高の選手年俸総額チームだった。その間、彼らはア・リーグ東地区を11度も制し、2度のワイルドカード獲得を含めれば、通算13回もプレーオフ進出を果たしている。実に8割以上の高確率だ。選手に巨額の投資をしただけの見返りは、きっちり出ている。