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新天地でリスタートを期する、
今江敏晃が東北楽天の救世主となる。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2016/01/27 10:30
ヒゲを剃って臨んだ昨年12月の楽天の入団会見で、梨田監督と握手を交わす今江。
「今まで懸垂なんて1度もできなかった」
昨シーズンは開幕を4番打者で迎えるも、1本塁打38打点はいずれもレギュラーに定着した'05年以降でワースト。7月に左手を死球で骨折して出場98試合に終わったことを差し引いても、中軸打者としてはあまりに寂しい数字だった。
「去年は自分のプレー自体に力強さを感じることができなかった。豪快なスイングをしているつもりが、打球に力が伝わらず、抜けているような感覚でした」
このオフは、上半身を中心とした肉体改造に力を注いだ。もともと下半身は強いタイプだが、それに対して上半身の筋力が弱いという結論に至り、特にパワーを生み出す広背筋を中心に鍛え上げたのだ。
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「今まで懸垂なんて1度もできなかったのが、このオフは初めて出来た。しかも5回も。練習をやってみた手応えも、かなり感じています。スイングの力強さも飛距離も全然違う。守備の動きやスローイングさえ感覚が違いますから」
「新天地では新しい自分を表現できる」
福岡に来る前、沖縄での自主トレをメディアに公開した日には、ロングティーで68スイング中26本を外野スタンドに叩き込み、「こんなに入ったことは今までなかった」と喜んだ。
また、沖縄では楽天で新たにチームメイトとなる嶋基宏らと食事をする機会があったという。
「ロッテでは生え抜きで14年間もやらせてもらい、年齢も立場も上の方になると、どうしても大人な振る舞いをしなくてはと思い、自分のキャラを抑えるようになっていました。でも、新天地ではまず自分という人間をみんなに受け入れてもらわないといけない。また新しい自分を表現できるのは、楽しみな部分でもあります」