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エンゼルスを失脚し、マリナーズに。
監督との抗争に敗れたGM、反撃へ。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2015/12/29 11:00
マリナーズ新GMのディポート氏。来季のチーム編成の最優先事項として、シーズン後にFAとなる岩隈久志との再契約を挙げていた。
屈辱を味わった男が、同地区でGM就任というドラマ。
ディポートGMは会見ではいつもニコニコしていて柔和なイメージもあるが、あくまで元選手である。“闘う男”としての激しい側面はどこかに残っているだろう。ましてやロッキーズやダイヤモンドバックス時代は、選手育成部長やスカウト部長などを歴任して「記憶力に優れ、コミュニケーション能力が高く、数字にも強い」(ケビン・タワーズ元ダイヤモンドバックスGM)という評価を受け、早くから「未来のGM候補」と目されていた逸材だ。
それが2014年には地区優勝という結果を残したにも関わらず、志半ばにして「その上を目指すチャンス」を奪われたのだ。悔しくないわけがない。
エンゼルスで屈辱を味わった男が、同地区のマリナーズのGMに就任する。それだけで充分にドラマチックだ。前回はベテラン監督との権力争いで敗れたが、今回は現役時代の元同僚で同年代(48歳)のスコット・サーベイス元捕手を、自ら新監督に抜擢してのGM職復帰である。
おまけにエンゼルスが今オフ、控えめな補強に終始している間、アダム・リンド一塁手(前ブルワーズ)や左腕ウェイド・マイリー投手(前レッドソックス)、青木宣親外野手(前ジャイアンツ)や(一度は取り逃がしての再契約だったが)岩隈久志投手を獲得し、ソーシア監督やエンゼルスを打ち負かす準備はすっかり整ったように見える。
「やられたら、やり返す。倍返しだ」
半沢直樹ではないけれど、来季は西海岸で面白いドラマが生まれそうだ。因縁の相手を軽く一蹴して、さらに「その上」を目指して欲しいものである。