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2015年のキーワードは「急成長」か。
有馬記念で振り返る競馬界の1年。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/12/28 12:00
今年、条件馬から一気にGI制覇まで駆け抜けたゴールドアクター。来春の最大の目標は天皇賞だ。
他にも目立った急成長馬たち。
ゴールドアクターは、スクリーンヒーローの初年度産駒。年度代表馬の有力候補であるモーリスもそうだ。モーリスの「急成長」ぶりもおなじみで、今年1月に1000万特別を勝ってから6連勝。そのなかには3つのマイルGIが含まれている。
「急成長」ということでは、今年の中山金杯で重賞初勝利を挙げ、宝塚記念と天皇賞・秋を制したラブリーデイの活躍も目立った。
デビュー2戦目で驚異的な強さを発揮し、朝日杯フューチュリティステークスを制したリオンディーズも「急成長」した1頭と言っていいだろう。
上位馬の共通点とは。
今年の有馬記念で上位に来た馬にはいくつか共通点がある。
1着のゴールドアクターも、2着サウンズオブアースも、3着キタサンブラックも、4着マリアライトも、ここが秋3戦目の馬だった。
また、ゴールドアクターは昨年の菊花賞3着、サウンズオブアースは同じ菊花賞で2着、キタサンブラックは今年の菊花賞1着と、3頭とも菊花賞上位組だった。
これらは有馬記念全体の傾向と必ずしも一致するわけではないのだが、終わってみたらこうも簡単に見つかる共通点を、始まる前にどうして見抜くことができないのか。見抜いて儲けた人もいるのかもしれないが、ゴール前で、
――ゴールドはゴールドでも、シップじゃなくてアクターかよ……。
と立ち尽くしたひとりとして、つくづくそう思った。
なお、1番人気のゴールドシップは、最後方から一気にマクりをかけて場内を沸かせたが、直線で力尽き8着に終わった。最終レース後に行われた引退式では4万人のファンが見守るなか、関係者が挨拶しているときにいなないたり、記念撮影の輪に入るのを拒んで立ち止まったりと、最後まで「らしさ」を見せた。