オリンピックへの道BACK NUMBER
自信が無い所から始まった宮原知子。
自信を失ってしまった浅田真央。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byEnomoto Asami
posted2015/12/28 11:30
「連覇とか去年優勝したとかは意識していなくて……演技に集中してます」と大会後にコメントした宮原。
ブランク明けに過大な期待をされてしまった浅田。
浅田自身の表現は異なるが、根底にあるのは自信の有無だ。
シーズン開幕を前にした夏場も、ジャパンオープン時も、佐藤氏は、練習はきちんとできていると語っていた。浅田の性格からしても練習を怠るわけもない。だが自信が失われ、迎えたのが全日本選手権だった。
その要因をあえて推測すれば、ジャパンオープンで好演技を見せたあとの反応にあったかもしれない。冷静に考えれば、1シーズンのブランクを経ての復帰である以上、シーズンを通じて時間をかけて整え、向上を目指すはずのところだ。だが、周囲の期待は必要以上に高まった。本人も応えようとした。あるいは「もっともっと」と勢い込んだ。だがうまく行かない試合があり、自信を失っていった……。
高い技術を持つ2人が、再び世界選手権で競う!
ただ、全日本選手権はそのままでは終わらなかった。フリーでは冒頭の2つのジャンプでミスがあったが、その後は立て直しフリーで2位、合計得点は193.75で総合3位となった。
「今シーズンでいちばんいいフリーだったと思います」
笑顔の浅田は、こうも語った。
「自分の弱いところ、マイナスなところは気持ちが引けてしまう部分だと思うので、それを先生と話して、今日の朝から意識してやっていました。自分の中でも手応えがあったので、忘れずにやっていきたいと思います」
気持ちの持ち方の面での変化だった。
シーズンを通して自信を手にし、より高いパフォーマンスを見せた宮原。
やればできるという気持ちを失い、しかし大会の中で手がかりをつかみ、演技でも成果を得られた浅田。
あらためて、築いた技術があった上でのメンタルの大きさを示した2人は、今大会で総合4位となった本郷理華とともに、2016年、四大陸選手権、世界選手権へと進む。
自分への信頼をどこまで持てるのかもまた、大会での演技を左右することになる。