遠回りでも、孤独な戦いに再び挑む。

　シーズンが本格化すれば、自分を鼓舞すべくパット以外の収穫を見出したり、自分への許容範囲を広くしたりする時間も必要だろう。しかし再起を誓うオフを迎える前の松山は、いつになく自分に厳しい。

「自分にとって、何が一番いい解決法なのか効率よく探したい。今は自信を持って打てるスタイルを探している最中です」

　打ち方を変え、パターを替え、あるいはコーチをつける。今後の解決策はまだ思い浮かぶ。しかし彼は、「根拠あるフィーリング」を求めて、孤独な戦いに再び挑む覚悟でいる。結果的には遠回りかも知れないが、無鉄砲に正解を撃ち抜こうとしない。そこは持ち前の無骨で、不器用な性格ゆえかもしれない。

　すがるのは今年一年で積み上げた賞金でも、トップ10に入った回数でもない。「あしたはまた違う日、いつかは入る」と耳触りの良い、ただ前向きな言葉は割り切れない。掴んでは逃げる、確実な拠りどころを探し当てるまでは。

「楽しくはないですよ。でも……それをやっている時の自分って、しんどいけど、結局好きだからやっているんでしょうね、僕は。しんどいことが、たぶん好きなんでしょう」

　笑うでもなく、いたって真面目な眼を遠くに向けてそう言った。

　松山英樹は逃げない。そんな思考回路こそが、彼の真骨頂、人の夢を背負う頼もしさの根拠でもある。

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