球道雑記BACK NUMBER
ロッテの内野で下克上が始まる!
“ポスト今江”狙う19歳・香月一也。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/12/11 10:30
「もっと今江さんを見て勉強したかったけど、このチャンスはつかみたい」と語った香月(右)。
体幹を鍛え込んで得た、スイングへの自信。
イースタン・リーグで93試合、328打席に立って、打率.227、本塁打3、打点22は彼にとっても、周りにとってもけっして満足の行く数字ではない。それでも終盤戦の、特に打撃に関する部分ではプロでやっていく手応えを掴んだと彼は力強く言い切る。
「掴んだものというか、この1年間やってきて手応えは感じています。今年1年やってきたことを来年出せれば結果も付いてくるんじゃないかって、自分のなかではあります」
この1年はプロの力強い真っ直ぐに対応するため、自慢のスイングスピードをさらに高め、より打球に力が加わるよう体幹を鍛え込んだ。これらは香月が高校から続けてきたことだが、プロに入って、よりその必要性を感じたからだという。
そうしたトレーニングの手応えもあって、秋季キャンプを過ごす彼はどこか自信に満ち溢れているようにも見えた。
まるで「来季は自分を見ててくれ」と、そう言わんばかりに。
「プロは思っていた以上の厳しい世界だった」
出身の大阪桐蔭高では1年生からメンバー入りし、2年生の春と夏にはひとつ上の先輩である森友哉(現埼玉西武)らと共に甲子園にも出場して主軸を組んだ。3年生の夏には2回戦で明徳義塾高の右腕・岸潤一郎から右翼席に一発を放つなど、3番サードとして活躍。全国優勝も果たし、U18アジア野球選手権大会の高校日本代表でも全試合でクリーンナップ(5番)を務めている。
千葉ロッテの同期には同じく高校日本代表で核弾頭を務めた健大高崎高卒の脇本直人や、今年の春季キャンプでは「夏くらいには(一軍に)出てきてほしい」と伊東勤監督に言わしめた星稜高卒の右腕、岩下大輝がいた。
いずれも高校時代は名の通った選手たちだ。そんな彼らとて今年1年間、一軍の公式戦デビューは叶わなかった。
「思っていた以上の厳しい世界だなって感じました。高校野球と違って相手ピッチャーもそうですし、守備でも打球の速さ、相手の足の速さとか全然違うので、そういったところで自分の中ではあまりうまくいかなかったかなと思っています」