球道雑記BACK NUMBER
ロッテの内野で下克上が始まる!
“ポスト今江”狙う19歳・香月一也。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/12/11 10:30
「もっと今江さんを見て勉強したかったけど、このチャンスはつかみたい」と語った香月(右)。
「今は自分のことだけで本当に精一杯です」
この秋季キャンプでテーマとして掲げたのは「たくさん振って、たくさん取って、たくさん投げる」だった。キャプテンの鈴木大地も「この時期は故障してもいいくらい、自分を追い込みたい」と話していたが、香月もその言葉に負けないくらい、気が遠くなる量のノックを連日受け続けた。秋季キャンプ期間中に今江のFA移籍が決まり、報道陣に「今江の後釜について」訊かれても、それを考えるのも容易じゃないくらい、ひたすら打って、ひたすら守る。そんな秋を過ごした。
「(今江の移籍のことも、平沢の入団も)正直意識していないですよ。今は自分のことだけで本当に精一杯なんです」と、彼は言う。
誰を起用するかは他の誰かが決めること。そこを考えたからと言って、何かが変わるわけじゃない。それならば今はただ自分のスキルアップだけを考える。そんな時間だと、香月は他の誰でもない自分に言い聞かせているようだった。
今江らの退団でポジション抗争の激化は必至。
この秋は三塁を守った今江の他に、二塁を守っていたルイス・クルーズの退団も決まり、内野のポジションがふたつ空いた。この空いたポジションを含め、内野の全てのポジションを来季の春季キャンプでは一度シャッフルすることが考えられる。それは内野のリーダーで、チームのキャプテンを務める鈴木大地とて例外じゃない。
鈴木は言う。
「当たり前で小さなことかもしれないですけど、チーム内で競争を勝ち抜いて、レギュラーを獲って初めて、相手チームと対戦して結果を残す、残さないの世界なんで、小さな目標と思われるかもしれないですけど、僕はそこが一番難しいところだと思っています。僕はまだまだ(レギュラーを確約されているような)そういう選手じゃないですし、毎年が勝負だと思っているので、まずはそこが大事だと思っています」
戦国時代さながらの内野のポジション争いが始まりそうな来季の千葉ロッテ。それこそ“チーム内下剋上”を起こすことが、王者・福岡ソフトバンクへの追撃の始まりとなる。香月が意識はしないと言った超高校級の内野手・平沢大河の一軍キャンプスタートはほぼ内定だ。キャンプの主役の座を新人から奪い、鈴木、中村ら年上の先輩たちを押し退けて内野のレギュラーを掴むことができるのか。戦いの火蓋はもう切られている。