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筋肉マニアがアスリートの体を見れば。
内村航平の背中、五郎丸歩の脚部!
text by
増田晶文Masafumi Masuda
photograph byAFLO
posted2015/12/04 10:30
均整が取れているがゆえに目立たないこともあるが、体操選手の筋肉は本当に美しい。
筋肉原理主義者の視点でアスリートを見ると……。
そんな筋肉原理主義者の私だけに、ついアスリートをボディビル的視点から吟味してしまう。これはもう、一種の業のようなもんだ。
で、冒頭の体操世界選手権――演技では内村にかなわなかった面々にも、こと筋肉的には注目に値するツワモノを発見した。
内村が栄を受ける表彰台の左、5人並んだ選手たちの、これまた左端の黒人選手! ドネル・ウィッテンバーグ。
彼の上半身の凄まじい発達ぶりときたら。こりゃボディビル大会でも上位に食い込みそうだ。
されど、内村ほどのツワモノなら、ボディビル対決でも彼を打ち負かすことが可能なはず。私が筋トレコーチに就任した暁には(おいおい)、肩を構成する三角筋を徹底的に鍛えて横へ張り出させ、さらに大胸筋の厚みを加える。ついで上腕部の力こぶ、二頭筋とその裏側の三頭筋をぶっとくさせたい。
一方、内村の背中のシルエットはピカイチだから、さほどいじる必要もなかろう。
それでも、できればラットプルダウン、ベントオーバーロウをやり込み、シメにデッドリフトで幅、厚みともボリュームアップしてほしい。
もし、本コラムを内村が読んでいたら――果てなき精進を続け、孤高の境地を目指す彼のことだ。リオ五輪では比類なき史上最高の筋肉をひっさげて登場するかもしれない(そんなわけ、ないか……)。
体操選手は基本的に道具を使って筋トレをしない!?
ちなみに、ロス五輪で個人総合と吊り輪を制した具志堅幸司さんはこう証言してくださった。
「基本的に体操選手はバーベルやマシンで筋トレをしません。ひたすら6種目の技を磨きます。でも、これが自分の体重、いわゆる自重を使った筋トレになっているんです」
ん? ということは。高い金を払いジムでバーベルと格闘しなくても、カッコいい筋肉は懸垂や腕立て伏せといった身近な自重運動だけで手に入る!?