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名波監督への依存から選手の自立へ。
2015年のジュビロは、秋も強い!?
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/11/08 08:00
ジェイとともに磐田の攻撃を牽引するアダイウトン。16得点で得点ランクも2位タイに上がってきた。
成長は確かだが、昇格できなければ……。
監督への強すぎる依存心が消えて、選手たちに自立心が芽生えた。“誰か”ではなく、“俺が”という意識が、球際で表現されている。降格の原因を語るたびに、強いリーダーシップを持つ選手がいないと言われた。しかし、そういう強力なリーダーがいなくとも、固くまとまることができる。
負けない秋を過ごす磐田には、そんな確信を抱かせる。
得点が決まり、セレブレーションが行われている間、ピッチサイドで給水していた伊野波が、自分のポジションへ戻ろうとしていた。その背中に向かい、名波監督が執拗に何度も声をかける。きっと確認すべき重要なことがあるのだろうと思って見ていた。しかし、監督は伊野波の肩をポンと叩いただけだった。
「『このまま行ってくれ』って(笑)。わかってるって、どんだけ俺のこと好きなんだよ」
伊野波は照れ臭そうに振り返り、憎まれ口を叩いた。心配性の父親を語るようでもあった。
もちろん、物語のエンディングは誰にもわからない。
チームの成長は喜ばしい。長く暗いトンネルから抜け出せたようにも思える。
けれど、昇格できなければ、再び闇に陥ってしまう。その厳しさを忘れてはならない。