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「時間がない」はずのU-22が覚醒!?
新星の登場と“おとなしさ”の打破。
posted2015/11/04 10:30
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はことあるごとに口にするが、手倉森誠監督は決して漏らさないひと言がある。
U-22日本代表監督は、「時間がない」と言わない。
来年1月のリオ五輪アジア最終予選へ向けた強化スケジュールは、決して恵まれているとは言えない。3月の1次予選以降のテストマッチは、これまでのところ7月のU-22コスタリカ戦だけである。8月にトレーニングキャンプを行ない、9月にはJ3・アンダー22選抜にU-22日本代表の中心選手を招集したが、3月以降の強化日数は合計で10日ほどだった。
キャプテンの遠藤航(湘南)は8月、9月と日本代表に選出されたため、過去2度の活動には参加していない。10月25日から29日にかけてのトレーニングキャンプで、手倉森監督は久しぶりにまとまった時間を手にすることができたのだった。
多くの主力が呼べないU-22の苦境。
もっとも、招集リストには制約が課せられた。九州での5日間はメンバーの最終選考と位置づけたが、鹿島とガンバ大阪からは選手を選んでいない。両チームは10月31日に、ナビスコカップ決勝を控えていたからだった。欧州でプレーする久保裕也(ヤングボーイズ)と南野拓実(ザルツブルク)についても、日本国内のトレーニングキャンプに招集できるはずがない。
かくもシビアな条件下で、U-22日本代表は最終予選に臨もうとしている。
2014年1月の結成当初から、リオ五輪を目ざすチームは「おとなしい」と言われてきた。練習中に響くのは手倉森監督と秋葉忠宏コーチの声ばかりで、選手たちは黙々とボールを追いかける。こちらも、そんな光景に見慣れつつあった。
しかしチーム内の空気が、少しずつ変わってきている。