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「時間がない」はずのU-22が覚醒!?
新星の登場と“おとなしさ”の打破。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/11/04 10:30
ユース生え抜きでもあり、浦和で圧倒的な人気を誇る関根貴大。U-22代表でも中心になれるか。
浦和の関根が激戦の2列目に名乗り!
なかでも注目を集めたのは、関根貴大だっただろう。
U-22日本代表は4-4-2が、浦和は3-6-1が基本布陣である。U-22日本代表とのシステムの違いは、浦和で右アウトサイドを担当する20歳がこれまで招集を見送られてきた一因だ。
しかし、関根は鮮明なる解答を弾き出す。27日の福岡大、29日のサガン鳥栖との練習試合で、167cmのサイドアタッカーは2列目の右サイドで輝きを放った。中盤へスムーズにボールを引き出し、攻撃にリズムと迫力をもたらした。
もっとも、彼が食い込もうとしている2列目は激戦区だ。
7-0と大勝した鳥栖戦で、圧巻のロングシュートを叩き込んだ野津田岳人(広島)がいる。2トップの一角でも起用されるコアメンバーの中島翔哉(FC東京)が、2列目でも起用されている。矢島慎也(岡山)、前田直輝(松本山雅)、鎌田大地(鳥栖)らもライバルとなる。ザルツブルクで好調な南野も、3月の1次予選では2列目で起用されている。
今合宿でのパフォーマンスは及第点以上だったが、関根がスタメンをつかみ取るにはさらなるアピールが必要だ。「目に見える結果を残すことが大事だと思う」と話したのも、他ならぬ彼自身が厳しいサバイバルを実感しているからだろう。
懸案の右サイドバックに複数選手をテスト。
むしろ気になるのは、右サイドバックである。
3月の1次予選でレギュラー格だった松原健(新潟)が、ケガのため長期離脱を強いられている。最終予選に間に合うか、間に合ったとしても実戦感覚を取り戻せるか、という状況だ。
福岡大、鳥栖との練習試合で、手倉森監督はこのポジションに複数の選手をテストした。最終ラインの左右両サイドでプレーでき、結成当初からチームに名を連ねる亀川諒史(福岡)と室屋成(明治大学3年)を起用しつつ、新たなオプションも探った。川崎Fで中盤を定位置とする中野嘉大、柏レイソルでセンターバックを務める中谷進之介を右サイドバックに配したのである。
セントラル開催の連戦となる最終予選では、出場停止やケガへの耐性が問われる。手倉森監督が「複数のポジションをこなせる」ことを選考基準のひとつにあげているのも、戦術的柔軟性を担保するためだ。
中野は左サイドバックでもテストされ、ボランチの喜田拓也(横浜FM)も4バックの左サイドでプレーした。このポジションをリードしてきた山中亮輔(柏)が所属先で定位置をつかめていないことも、指揮官に様々なトライを迫っているのかもしれない。両サイドバックのスタメンと序列の確立は、このチームがリオ五輪へ到達できるかどうかのカギになるだろう。