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“最高のバトル”を経てラスト2戦へ。
混戦がMotoGP王座に与える影響は?
posted2015/10/25 10:40
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
前回の当コラムで、ドライコンディションだったらオーストラリアGPはロッシ、マレーシアGPは互角、最終戦バレンシアGPはロレンソ有利と書いた。
だが早速その予想は外れてしまい、ドライのオーストラリアGPではロレンソがロッシに先着した。
ロレンソ2位、ロッシ4位でレース前の18点差が11点差に縮まったが、残り2戦で総合首位のロッシにチャンピオンへのマジックが点灯した。
今週のマレーシアGPではロッシの自力によるチャンピオン決定はないが、ロッシがロレンソに26点以上の差をつければチャンピオンが決まることになる。
しかし直近2戦だけを見ても、一進一退の互角の戦いが続いている。日本GPはロッシ2位、ロレンソ3位で、オーストラリアGPはロレンソ2位、ロッシ4位。変わらないのは、ロッシが先行し、ロレンソが追う側の立場だということである。
4人が凄まじいバトルを繰り広げたオーストラリアGP。
それにしても、先週のオーストラリアGPは最高に面白かった。
チャンピオン争いをするロッシとロレンソの戦いにマルケスとイアンノーネが加わり、だれが勝ってもおかしくない、何が起きても不思議ではない、壮絶なバトルが繰り広げられた。
タイトル獲得に向けて、もう後がないロレンソが全速力で逃げる。その背後でマルケスとイアンノーネとロッシがめまぐるしくポジションを入れ替えた。
そして、最終ラップにファステストラップをマークしたマルケスが一気にトップに浮上して優勝。マルケスとロレンソの2人からやや遅れて、ロッシとのバトルを制したイアンノーネが3位でフィニッシュするというレースだった。
レースを終えた後の4人のコメントが、この日の壮絶な戦いを浮き彫りにした。今季最高と誰もが絶賛した熾烈な戦いの中で、4人のライダーたちが何を考えていたのか、どういう作戦だったのか、ということが手に取るようにわかる。
それを知ってもう一度レースを見直すと、なるほどなあと実に面白かった。