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“最高のバトル”を経てラスト2戦へ。
混戦がMotoGP王座に与える影響は?
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2015/10/25 10:40
ロッシとロレンソの11点差は、1位と4位、2位と8位などでひっくり返る差。ましてリタイアなどすれば……。
マルケス「とても追いつけるとは」
優勝したマルケスは、レースを終えた直後のテレビのインタビューにこう答えた。
「マシンの感触は良かった。序盤は僕とアンドレアとバレンティーノとの間でたくさんのオーバーテイクがあり、そして、ホルヘ(・ロレンソ)が引き離しにかかっていた。その後、ホルヘに追いつけるように少しプッシュした。ホルヘの前に出た後、ギャップを広げようとしたら、フロントタイヤがオーバーヒートしているような感じだった。マシンにもその影響が出てきた。それで、少しスピードを落として、残り3周でプッシュすることに決めた。
アンドレアとバレンティーノが僕を何度もパスしてきたので、ちょっと遅れてしまった。最終ラップはその2人を抜いて、ホルヘに追いつこうと100%でプッシュした。でもとても追いつけるとは思わなかったから、うれしい。これまで一生懸命頑張ってきたけれど、なかなか結果がついてこなかったからね。この勝利は本当にうれしい」
ロレンソが感謝した、イアンノーネの健闘。
そしてロレンソは、中盤に一度首位に浮上するも、数周後に首位を空け渡すことになるマルケスの走りを、こう分析していた。
「マルク(・マルケス)の後ろを走ったとき、彼はいくつかのエリアでトラクションに問題を抱えていることがわかった。だからプッシュすればマルクを引き離せると思った。でも、最終ラップにマルクはレコードラップという素晴らしい走りをした。
最後のヘアピンのブレーキングで隙をつくらないように努力したが、彼のブレーキングが上回った。優勝はできなかったけれど、後ろでアンドレアがバレンティーノをパスしたのはラッキーなことだった。これがなければ4ポイントしか取り戻せなかったからね」
優勝争いの2人には最終ラップに少し離されてしまったが、3位になったイアンノーネは、こう振り返る。
「素晴らしいバトル、素晴らしいレースだった。最高の気分だ。こんな激しいバトルは初めての経験だしうれしい。今日は、MotoGPクラスの最高のライダーたちとバトルをすることができた。そして、表彰台を獲得することができた」