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“最高のバトル”を経てラスト2戦へ。
混戦がMotoGP王座に与える影響は?
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2015/10/25 10:40
ロッシとロレンソの11点差は、1位と4位、2位と8位などでひっくり返る差。ましてリタイアなどすれば……。
周回どころか、コーナーごとに起こったパッシング。
そして4位に終わったロッシは3位表彰台に立てなかったことを悔しがったが、タイトル獲得に向けてついにマジックを点灯させた。
「今日はいいペースだったし、もっといい結果を残せたと思う。確かに4位というのは残念だが、いいレースだった。最終ラップにイアンノーネを抜いて表彰台に立てれば良かったけれど、これまでも何度も言ってきたように、大事なのはここ10戦のレース結果だからね。とにかくミスをしないこと。そう心がけてきたことがいま活きている。きっと、最終戦まで厳しい戦いが続くと思うよ」
昨年のベストレースは最終戦カバレンシアGPで、マルケスとペドロサのホンダ勢と、ヤマハのロッシが最終ラップまで優勝争いを繰り広げた。
しかし今年のオーストラリアGPは、そのバレンシアGPが比較にならないほどパッシングの回数が多かった。周回ごとでなく、コーナーごとにポジションを入れ替える壮絶な戦いに、選手も関係者も、そしてファンも、この数年の中で最高のバトルだったと評価することになった。
一騎打ちに他のライバルが絡むことでより面白く!
チャンピオン争いという大事なレースで、これほど激しいバトルが繰り広げられることになるとは誰も思わなかったに違いない。
この数戦を振り返れば、第14戦アラゴンGPと第15戦日本GPは、タイトルを争うロッシとロレンソにペドロサが割って入り、2人とも苦しめられたり助けられたりした。
そして第16戦オーストラリアGPでは、マルケスがトップ、イアンノーネが3位になったことで、2人のポイントは7点しか縮まらなかった。
シーズン終盤戦の戦いは、他のライバルたちを交えた「足したり引いたり」の様相となっている。直接対決ならポイント計算も簡単だが、3人、4人の戦いになると算数が複雑になる。そんなことを考える余裕がなければないほど、戦いは面白くなるということをオーストラリアGPで実感した。