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12球団の1位&外れ1位を大予想。
2015年ドラフトは高校生の抽選必至!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/10/15 10:30
プロのスカウトたちがベタ褒めする東海大相模の小笠原慎之介。競合は、そして入団先は……?
広島、ロッテはともに投手が優先課題。
広島はスカウト陣が昨年から「来年の1位は上原」と言っていた。その上原健太(投手・明治大)は今年になってピリッとしないが、190センチの長身を利した角度十分の直曲球に特徴があり、とくに縦変化のスライダーは角度とともにブレーキのかかりもよくプロでも強力な武器になるだろう。
外れ1位も投手が候補になる。前田健太のメジャー挑戦、黒田博樹の去就も明らかでないので補強が急がれるのは先発だが、CS(クライマックスシリーズ)を逃した最大の要因はリリーフ陣の手薄さ。個人的には上原より大学生の熊原、多和田、岡田、社会人の近藤均、近藤大亮あたりに向かったほうがチーム事情に合っていると思う。
ロッテは一発こそないが、途切れない波状攻撃でCSのファーストステージを勝ち上がった。野手のポジションで弱いのはクルーズの去就がはっきりしない二塁くらい。三塁手の今江敏晃が30代中盤に差し掛かってくるので将来を睨んで三遊間を整備するのも重要だが、補強の最重要ポイントは投手。
涌井秀章、石川歩、イ・デウン、チェン・グァンユウ、唐川侑己、藤岡貴裕、古谷拓哉、大嶺祐太と先発候補が揃い、抑えの西野勇士につなぐ中継ぎも益田直也、松永昂大、内竜也と悪くない。それでもソフトバンク、日本ハムに対抗するなら、先発、リリーフともさらに強力なピースがほしい。緊急でなく、ほしいのは将来的なピースだから高校生の高橋純平と小笠原あたりを1位で入札するのが最も納得のいく指名。高校生に無関心だったロッテが高校生の1位入札に向かえるのか、個人的に非常に興味がある。
阪神は勇気を持って高校生を指名できるか。
阪神は若返りを模索中と聞くが、マスコミはルナ、藤井淳志(ともに中日)獲得の可能性を報じるなど、世代交代を信じていない様子。本当に若返りをめざすならドラフトこそその“先兵”とならなければならない。もし1位で高橋純平を入札したなら阪神の覚悟は本物だと思う。
高橋純を外しても、もう1回高校生に向かっていくなど「若返り」に対する思いの強さを見せてほしい。たとえば小澤怜史(日大三島高)の外れ1位入札である。外れ1位の成功例がある巨人(坂本勇人)、日本ハム(吉川光夫)、オリックス(T-岡田)、ヤクルト(山田哲人)なら高校生に向かっていけるが、阪神はそういう経験が最近まったくない。阪神が今やらなければいけないのは勇気ある指名である。