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ロッテ、日ハム倒して下克上へ前進!
ファーストS突破率100%の方法論。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/10/13 12:50
“5年周期日本一”伝説へ向け、伊東勤監督率いるロッテがまずファーストステージを制した。
ポストシーズン男・今江を8番に据えた理由とは。
伊東監督が話す。
「コーチがゴリ(今江)を8番に据えたことが大きかったですね。昨日(10月9日)、打順がなかなか決まらなかったんですけど、結果的にこれが見事に的中しました」
今季、中軸を任されることが多かった今江だが、左手首の骨折から復帰した9月10日以降、打率2割2分5厘と状態は芳しくなかった。先手を取りたかったチームは、今季8打数5安打と大谷翔平と好相性の鈴木大地を7番に据えたわけだが、この配置が奏功した。
指揮官は打順について「コーチのファインプレー」と称賛していたが、堀幸一打撃コーチは「そんなことないですよ」と冷静に受け止め、淡々と狙いを解説した。
「うちはシーズン中からそんな感じですよ。バッターの調子、ピッチャーとの相性とかを判断しながら、監督と相談して打順を決めているだけです。初戦に関しては大地のほうが相性はよかったから上げたのであって。その試合でベストなメンバーを組むだけ。特に変わったことをやっているわけではないんですよ」
堀コーチはそう言うものの、それだけではないはずだ。
データでは当たってない井口、デスパイネの大仕事。
印象的だったのが第3戦。それまでの2試合でベンチスタートだった井口資仁を5番に起用したが、この日先発した吉川光夫との今季の対戦成績は14打数2安打と分が悪く、前日にスタメン落ちしたデスパイネも12打数2安打と同様に当たっていなかったが起用を決意。
だが、井口が2回に同点アーチ。デスパイネも吉川からは無安打だったが、7回に有原航平からファイナルステージ進出をたぐり寄せる貴重な勝ち越し本塁打を放った。「こういう戦いでは、経験値がある人が力になる」と伊東監督は言う。
西武での現役時代にリーグ優勝14回、日本一8回。監督としても頂点を知る指揮官の、経験に裏付けられた「攻めの采配」が、今回も活かされた形になったのだから疑いの余地はない。
攻めの姿勢は投手陣にも浸透していた。