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ロッテ、日ハム倒して下克上へ前進!
ファーストS突破率100%の方法論。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/10/13 12:50
“5年周期日本一”伝説へ向け、伊東勤監督率いるロッテがまずファーストステージを制した。
第1戦の初回、指揮官が抗議で示した攻めの姿勢。
それにしても、CSでのロッテはファンの期待を裏切らない戦いを見せてくれる。なにせ、過去4回出場したファーストステージでは1度も敗退したことがないのだ。2010年には、3位から日本一へと駆け上がる「史上最大の下克上」を成し遂げたこともある。ポストシーズンでの「大物食い」は、今やロッテの代名詞と言っていいほどだ。
この快進撃について、周囲は「無欲の勝利」「戦うたびに勢いが増す」とチームを分析する。実際に、伊東監督はチャレンジャーと述べていたし、「僕らには失うものがない」と話す選手も多い。
だが、このような抽象的な要素だけがロッテの強さを支えているわけではない。勝利を手繰り寄せたのは、言うまでもなくチームに明確な意志があったからだ。
ファーストステージでのロッテは、とにかく攻めに徹していた。
CS初戦の前日、伊東監督は「初回から攻める」と公言した。事実、2死ランナーなしから清田育宏のショートゴロを捌いた日本ハム・中島卓也の送球が逸れ、捕球したファースト・中田翔の右足がベースから離れたと判断するや、伊東監督はすぐさまベンチを飛び出し審判に抗議した。得点には至らなかったが攻めの姿勢を自身でチームに示したのだ。
159キロ出ていても、大谷のストレートを狙えばいい。
「ひとつのプレーに対して、ああやって監督が率先して行ってくれることは選手たちにとっては嬉しいですよね」
そう選手の意識を代表して話してくれた今江敏晃が、日本ハムの先発・大谷翔平の攻略の火付け役となった。
1点を先制された2回、1死満塁から159キロのストレートを左中間に弾き返す、走者一掃のタイムリー二塁打で逆転に成功。この一打で打線が活気づき、3回にも2点を加えて「投手三冠」の大谷翔平をKO。試合も9-3と相手を圧倒した。
この日の大谷翔平は、変化球の精度が今ひとつだった。生命線のスライダーでカウントを稼げず、フォークも高めに浮いている。したがって、カウントを取りにきたストレートを積極的に振っていけばいい――。大谷翔平から放った6安打が全てストレートだったことからも、ロッテベンチの狙いは的中したことがわかる。
そして、それ以上にハマったのが打順の組み換えだった。