一触即発な上に、2人は決して引かない性格。

　とにかくロッシもロレンソも、いざ優勝争い、タイトル争いとなったら絶対に引かない選手である。チームメートとしていまは一見友好ムードだが、一触即発だというのは周知の事実である。

　第13戦サンマリノGPの予選では、ロッシがロレンソのラインを邪魔したことにロレンソが怒り険悪なムードになった。第14戦アラゴンGPでは決勝日のウォームアップでマシン乗り換えの際に接触寸前となり、このときもロレンソが怒りを態度に表わした。

　'10年の日本GPでは、仲の悪かった2人が決勝レースで接触して大きな話題になった。怒りを爆発させたロレンソが取材陣を集めてロッシを糾弾したのも記憶に新しい。

　もし今年も接近戦になり、接触が起きたらと思うとドキドキしてしまう。

　シーズン後半戦のスタートとなった第10戦インディアナポリスGPでマルケスがシーズン3勝目を挙げたとき、ここから先は勝つことも大事だがミスをしないことがもっと大事だと書いた。

　そのときにはロッシ、ロレンソ、マルケスの3人にチャンピオンの可能性があったのだが、マルケスは第12戦イギリスGPと第14戦アラゴンGPで転倒リタイヤに終わりタイトル争いから脱落。

　ロレンソも第13戦サンマリノGPで転倒ノーポイントに終わっているが、第14戦アラゴンGPで6勝目、ロッシが3位に終わったことで、23点差を14点差に縮めることに成功、一進一退の戦いは続いている。

マルケスの2人に対する評は？

　これまで9回のチャンピオンを獲得してきたロッシは、14戦を終えて4勝13回の表彰台。4回のチャンピオンを獲得しているロレンソは、ここまで6勝8回の表彰台を獲得。

　タイトル争いから脱落したマルケスは、どちらが強いと聞かれ、「速さでロレンソ、経験でロッシ」と語ったが、残り4戦、速さと経験のどちらに軍配があがるのだろうか。

　過去2年はロレンソが日本GPで連勝している。いずれにしても厳しい戦いになることは間違いない。だが、結果としてぶつかってしまうのは仕方ないとしても、何かが起きることを期待しての接触劇だけは避けて欲しいと思う。

　今年はここまで、すべてのサーキットで観客動員数を更新してきた。それだけシーズンが盛り上がっている証拠である。

　世界中のファンが見守るタイトル決定戦。最後の最後まで正々堂々の戦いを期待したい。