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福西崇史が語る格上相手の戦い方。
'05年コンフェデ杯ブラジル戦を例に――。 

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福西崇史

福西崇史Takashi Fukunishi

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photograph bySports Graphic Number

posted2015/10/02 14:45

福西崇史が語る格上相手の戦い方。'05年コンフェデ杯ブラジル戦を例に――。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

「福西崇史の『考えるサッカー』」、配信は毎週月曜日の予定です。

ジーコジャパン最高の試合。

<試合ダイジェスト>
 グループリーグ最終節で両チームとも勝ち点1で並び、決勝トーナメントに勝ち上がるための直接対決となった。ビッグネームがスタメンに並ぶブラジルに対して、日本は真っ向勝負を選ぶ。3分に柳沢と小笠原のダイレクトでのパス交換から右サイドバックの加地が抜け出して先制点かと思われたが、オフサイドの判定を受けた。

 逆に10分、ブラジルがカウンターを仕掛ける。ロナウジーニョのドリブル突破から最後はロビーニョが飛び込み、日本が先制を許す展開になる。16分にも立て続けにシュートを浴びたが、23分に中村のFKから柳沢のヘッドがクロスバーを叩くなど、試合の流れを引き戻そうと奮戦する。すると27分、福西からのパスを受けた中村が思い切りよくミドルシュートを放つとゴールネットに突き刺さり、同点に追いついた。しかし直後の32分にロナウジーニョがゴールを陥れ、サッカー王国も意地を見せる。

 後半に入るタイミングで日本は中田浩、大黒を投入。キックオフ直後に大黒がチャンスメイクし、柳沢が飛び出してあわやゴールという展開を作る。その後もブラジルの鋭いカウンターにさらされながらも、78分には右サイドの加地、そして中村から繋がれたボールを福西がミドルで狙うなど、フィニッシュまで迫る姿勢を強く見せる。

 そして88分、日本が得た直接FK。名手・中村のキックはポストに当たったが、こぼれ球に大黒が鋭く反応。ゴールに押し込んで土壇場で2-2の同点に追いついた。日本は最後まで勝利を狙ったが、試合はこのままドロー。とはいえ、大番狂わせまであと一歩まで追い詰めたということで、ジーコジャパン最高の試合として語られることも多い。

◇   ◇   ◇

「あれ、絶っっ対にオフサイドじゃないから!!」

――説明しているうちに、あの時の試合を思い出してノッてきちゃいましたよ~!

福西:その気持ちは分かるや。でもこの試合、一つだけ言いたいことがあるんだよ~。

――ん、なんですか?

福西:加地のゴール、あれ、絶っっ対にオフサイドじゃないから!!

――言葉に力入りすぎです福西さん(笑)。ただ加地選手のゴールが認められてたら3-2で番狂わせだったじゃん! と考えて、この試合を例に話を展開していこうと思います。

福西:ちょっと強引な設定な気もするけど、まあいいか(笑)。

【次ページ】 相手のミスが増える状況を作る。

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