全日本ラリー選手権レポートBACK NUMBER

国内唯一の国際ラリー「ラリー北海道」。
雨を味方に奴田原文雄が今季初優勝。
 

text by

CINQ(サンク)

CINQ(サンク)CINQ

PROFILE

photograph byTOYOTA

posted2015/09/24 17:30

国内唯一の国際ラリー「ラリー北海道」。雨を味方に奴田原文雄が今季初優勝。<Number Web> photograph by TOYOTA

昨季クラスチャンピオンである奴田原文雄&佐藤忠宜組が今季初勝利を飾った。

2位の新井敏弘がチャンピオンを獲得。

 マシン整備などを行なうサービスを挟み、同じSSを走行する2ループ目には他の上位選手もウエットタイヤを装着するが、時すでに遅し、だった。

 2位を走行していた鎌田卓麻/市野諮(スバルWRX STI)が電気系トラブルのためにリタイア、それにより2位に浮上した勝田も、SS8ヤムワッカ2とSS9クンネイワ2で2度のパンクを喫し6位に後退する。

 波乱が続くなか、序盤は4位と出遅れた新井が2位に浮上し、天候が回復した最終日20日もSSベストタイムを重ねて奴田原を猛追。しかし、序盤に築いたアドバンテージは大きく、今シーズンはこのラウンドまで未勝利という不振にあえいでいた奴田原が、待望の今季初優勝を遂げた。

 また、新井が2位、勝田が6位でフィニッシュしたことにより、新井のシリーズチャンピオンが確定した。1997年に初の全日本ラリーチャンピオンを獲得した新井は、その後活動の場を海外に移し、WRCやPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)に参戦。PWRCでは2度のワールドチャンピオンを獲得するなど、日本を代表するラリードライバーとして世界を舞台に活躍していた。その新井が、昨年から全日本ラリーに復帰。昨年は日本国内独特の狭く曲がりくねった道に苦戦を強いられシリーズ3位に終わったが、今季は4勝を挙げ、シーズン2戦を残してのタイトル確定となった。

JN5クラスは壮絶なサバイバルゲーム。

 JN5クラスでは、天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・ヴィッツGRMNターボ)がシリーズチャンピオンに王手をかけて戦いに臨んだ。

 序盤をリードしたのは石田雅之/遠山裕美子組(トヨタ86)で、滑りやすい路面では不利といわれているリヤ駆動のトヨタ86をスプリントラリー並みの速さで豪快に操り、SS4でクラストップに浮上。その後もSS5、SS6、SS8でベストタイムを重ね、SS9では総合5番手というJN6クラスに迫るベストタイムをマークした。この時点で2番手の天野に2分48秒3という大量リードを築いた石田だが、19日最後の林道SSとなるSS10でリヤデフを破損してしまう。SSはフィニッシュしてベストタイムを重ねるものの、サービスに戻るリエゾン(移動区間)でデフオイルを失ったリヤデフが焼き付きストップ。圧倒的なリードを保ちながらもサービスに姿を現すことはなかった。

【次ページ】 タイトル決定は第8戦以降に持ち越しに。

BACK 1 2 3 NEXT
奴田原文雄
新井敏弘

モータースポーツの前後の記事

ページトップ