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代表戦でピケが浴びた非難の指笛。
政治的理由か、マドリーとの敵対か。
posted2015/09/22 10:40
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
9月5日、スペイン北部アストゥリアス州のオビエドでユーロ予選のスロバキア戦が行われた。
スペインはまずまずのサッカーでジョルディ・アルバとイニエスタ(PK)が得点し快勝。来年フランスで開催される本大会に一歩近づいたが、それより話題になったのは、試合中ピケがボールを持つたび非難の指笛が盛大に吹かれたことだった。
昨シーズン終了後の6月11日、同じくスペイン北部のレオンで行われた親善試合コスタリカ戦に続いてのことである。
ピケの代表での功績を考えると不可解な出来事だ。彼はセンターバックのレギュラーとして、'10年のW杯優勝にも'12年のユーロ優勝にも貢献している。
カタルーニャ独立運動への賛同が理由?
しかし、スタンドに駆けつけたファンが味方の選手を訳なく叩くはずもない。
理由として挙げられているのは、まずカタルーニャ州が続ける分離独立運動に対するピケの態度だ。
たとえば昨年の「カタルーニャの日」(9月11日)、彼はカタルーニャの独自性を主張する恒例のデモに参加した。
その後、カタルーニャの独立をめぐる住民投票の11月実施を公に支持した。
去る5月には、カタルーニャ同様スペインからの分離独立を求めるバスクを本拠とするアスレティックとの国王杯決勝戦で、スペイン国歌をかき消す指笛がスタジアム中で鳴り響いたことを肯定してもいる。「表現の自由」を持ち出して。
一方で、レオンはスペイン建国に大きな役割を果たしたレオン王国の中核都市から生まれた町であり、オビエドは現スペイン王妃の出身地である。
となると、政治的観点から彼を非難するのも合点がいく。
もっともピケ本人は「カタルーニャの日と住民投票の直後にやった試合では指笛を吹かれなかった」と否定しているが。