サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
本田&酒井宏の右サイド2人攻略計画。
W杯本大会用の戦術が着々と進行中。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/09/07 11:40
ハリルホジッチ体制での右サイドバックは、最もスタメンが決まっていないポジションの1つである。ケガの内田篤人、遠藤航、丹羽大輝、そして酒井宏樹。誰がその一番手に名乗りをあげるのか。
2人は以前から、攻撃に「狙い」を作ってきた。
この2人は以前から、事前に入念にコミュニケーションをとってから試合に臨むことがよくある。例えば、ブラジルW杯後の初めての代表戦となった'14年9月5日のウルグアイ戦でもそうだった。
本田は基本的に外に張り出していたが、右のセンターバックである吉田麻也がボールを持ちあがると中に入っていき、それに合わせて酒井宏が縦に出ていく関係を構築していた。
当時チームを率いていたのはハビエル・アギーレ監督であり、サイドハーフのポジションもビルドアップの形も現在とは異なるのだが、試合後に酒井宏が「圭佑くんが中に入っていくタイミングと、オレが外から上がっていくタイミングというのがすごく上手くいっていたんです」と話していた。
結果的には酒井宏のクリアミスから失点を招いてしまい、そのことばかりがクローズアップされることになったが、2人の間ではいつも狙いがあったのだ。
サイドに3人かけられない試合もある。
そして今回のカンボジア戦での「2対2の崩し」というのは、右サイドにいる本田と酒井宏に対して、相手のサイドバックとサイドのMFが対応してきた状況のことを指す。では、なぜ『2対2』の状況に彼らはこだわったのだろうか。酒井宏はその理由を明言した。
「今回は相手が格下でしたけど、強豪チームを相手にしたときにも応用できるような崩しをしたいと考えていたからなんです」
そして、こう続けた。
「たしかに、僕たちのところに3人目の選手が絡んで相手の守備陣を崩しにかかるということも出来ます。ただ、強いチームが相手の試合だと、リスクもあるので3人目が加わるのはなかなか難しい。だから、2対2の状況で崩せるようになればチームにとっては大きな武器になるし、そこで崩せればすごく大きなチャンスが待っているはずですから」
ロシアW杯のアジア予選のフォーマットは、前回大会の予選とは大きく変わっている。前回は日本代表が参加した3次予選の前に、2段階の予選を行なっていた。日本は、そこを勝ち抜いてきた、アジアのなかである程度の力があるチームと対戦するだけでよかった。ところが今回は、アジアカップのグループリーグの組み合わせなどで第1シード国となるようなチームも2次予選から参加することになった。