プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミア、最大のサプライズは誰だ。
岡崎慎司の評価急騰は嬉しい誤算?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2015/08/31 11:50
レスターの岡崎慎司はプレミア特有のフィジカルなサッカーに早くも適応の兆しを見せている。一人で局面を打開するタイプではないだけに、チームとの相互理解が重要だ。
ビッグクラブを蹴ってスウォンジー入りしたアイェウ。
ゴールへの嗅覚は、スウォンジーの2列目で先発4試合3得点のアンドレ・アイェウも同様。アイェウは元々、今夏の移籍が“サプライズ”だった。マルセイユでCL出場も経験したガーナ代表FWには、ローマとナポリのイタリア勢の他、アーセナルやリバプールの興味も伝えられていた上、当人は移籍金なしで新天地を選べる状態でもあったのだ。
当人は常時出場の可能性を優先したのだろうが、傍から見れば「まさか」の加入とも言えるスウォンジーで、アイェウはまるで4年前のプレミア昇格時からチームの一員だったかのようなフィット感を見せている。
開幕節チェルシー戦(2-2)、ティボウ・クルトワに弾き返されたシュート後、体勢を崩しながらも冷静な足裏コントロールでジョン・テリーのタックルをかわしてリバウンドを蹴り込んだシーンは見事だった。
2節ニューカッスル戦(2-0)では、身長176cmながら強さもコースも完璧なヘディングゴール。4節マンU戦(2-1)でも、クロスに頭で合わせて反撃の狼煙を上げ、その5分後には1トップのバフェタンビ・ゴミスの逆転ゴールを演出している。昨季はトップ10中最低の46得点だったスウォンジーに、目標のヨーロッパリーグ出場権争いに向けて頼もしい25歳が加わってくれたものだ。
ウェストハムの16歳は「現実離れしたレベル」。
最後に国際的には無名の若手を2名。ウェストハムのリース・オックスフォードは、まだ見た目も少年風の16歳だ。育成に定評のあるクラブで、最年少プレミア出場記録を更新した開幕節(2-0)の相手はアーセナル。しかも、ダイアモンド型の中盤の底という重要なポジションで先発し、メスト・エジル、サンティ・カソルラといった名手を相手に最終ラインの盾となった。
その若きボランチのパフォーマンスを「年齢からすれば現実離れしたレベルだ」と絶賛したのは、リバプールなどでの現役時代に守備的MFとして鳴らしたグレアム・スーネス。
パス能力を磨く必要はあるが、中盤中央での落ち着きはウェストハム出身で現マンUのマイケル・キャリックを思わせた。CBもこなせることから、サポーター間ではユースから輩出された「最高傑作」の1人であるリオ・ファーディナンドとも比較されているようだ。
怪我で3節ボーンマス戦(3-4)は欠場したが、翌節リバプール戦(3-0)ではサブとして戦線復帰。終盤だったとはいえ、2点差で互いに退場者を出して10人同士の戦いだったピッチへの投入からは、「動じないメンタルも備えた逸材」と語るスラベン・ビリッチ新監督が寄せる期待を窺わせた。