プレミア、最大のサプライズは誰だ。
岡崎慎司の評価急騰は嬉しい誤算？

　シーズンとは、なかなかクラブの思惑や周囲の予想通りには運ばないもの。

　今季プレミアリーグでは、チェルシーが開幕4戦で4ポイント獲得に止まり、トップ10圏外で8月を終えることになった。まだ順位にさほど意味がない時期とはいえ、昨季は開幕ダッシュから首位を維持して優勝を飾り、下馬評では今季のリーグ連覇が有力視されていたのだから大きな誤算だ。昨年は同じ4戦で7得点と開幕から爆発したジエゴ・コスタは1ゴールのみ。昨年はいきなり6アシストを記録したセスク・ファブレガスも、今年はゴールを演出できずに開幕4試合を終えた。

　その一方で、昨季は降格の危機を味わったレスターとクリスタルパレスが、予想外の好スタートを切ってもいる。8月の試合会場で、それぞれ「リーグ首位だ！」、「優勝するぞ！」と沸いた両軍のファンは、開幕早々からピッチ上で「嬉しい誤算」の選手達を目の当たりにしたわけだ。そこで今回は、そうした“サプライズ新戦力”にスポットライトを当ててみたい。

開幕前には無名だった岡崎慎司の株が急上昇中。

　まずは、レスターで評判が鰻登りの岡崎慎司。もちろんイングランドでの「岡崎株」急上昇には、「未知数」扱いを受けていたという理由もある。昨季までのマインツや日本代表では実積と呼べる数字を残していても、そこは「世界最強」を自負するサッカーの母国。全体レベルとしては「格下」と見なしているブンデスリーガ経由でやって来た日本人FWには懐疑的な視線が向けられていた。

　開幕前の時点では加入を知らない英国人記者もいた。開幕直後も、初戦から先発出場した事実を伝えると「本当に良い選手なのか？」と聞き返されたりした。

　筆者自身は2トップ採用ならレギュラーも狙えると思っていたが、「ティンカーマン（腕の悪い修繕屋＝選手をころころ入れ替える）」と呼ばれるクラウディオ・ラニエリ新監督が、意外にスタメンも4-4-2システムも固定した中での連続先発は、3連勝という結果もあいまって個人的な期待を上回るインパクトだった。

【次ページ】　前線での守備を含め「通用する」という手応え。