バッジョ、トッティを彷彿とさせる9・1/2番。

　スパッと空気を切るように放たれる、ベラルディの左足アウトサイドのパスは、球聖バッジョか天才トッティの名人芸を思い起こさせる。

　点を取る一方、観る者が息飲むようなアシストもできる彼らは、前線のポジションのうち9番と10番両方の長所を併せもつ「9・1/2番」と呼ばれている。

　フィオレンティーナの伝統ある背番号10を今季から受け継いだFWベルナルデスキもまた、希少な「9・1/2番」タイプの選手だ。9歳でフィオレンティーナの育成部門に入り、昨季、本格的なトップチームデビューにまで漕ぎ着けた。

タレントを揃えながら、GLで敗退したU-21欧州選手権。

　ベルナルデスキとベラルディは、初夏のチェコで開催されたU-21欧州選手権に、イタリア代表として出場した。

　同代表監督ディビアージョは、5試合、つまり欧州一を決める決勝戦まで戦うつもりだったが、イタリア代表はグループリーグで敗退した。

　スウェーデンとの大会初戦で、10人の相手に1点リードする完全有利の展開から、あろうことか退場者を出して逆転負けを喫した彼らは、ポルトガルとの2戦目に引き分け、続く最終戦ではイングランドを圧倒したものの、決勝トーナメント進出とリオ五輪への切符を逃した。優勝したのはスウェーデン、準優勝はポルトガルだった。

　勝負どころとは何か。大舞台でのゲームコントロールに必要なものとは何か。イタリアの若者たちは、チェコの地であらためてサッカーの難しさを知った。

　ベラルディらとともに敗退の涙にくれた者の中には、DFルガー二（エンポリ→ユベントス）やDFロマニョーリ（サンプドリア→ミラン）、MFカタルディ（ラツィオ）にMFベナッシ（トリノ）といった、すでに昨季から所属クラブでレギュラーを張っていた人間も少なくなかった。

「技術的観点のみでいえば、このU-21代表チームがもしセリエAに参戦したら、EL出場枠を狙えるレベルにある」（『ガゼッタ』紙）

　ベラルディが10番を背負ったU-21代表は、各ポジションに才能が集まり、近年稀に見る好チームだっただけに、敗退を惜しむ声は多かった。選手たちにも、悔恨が残った。

　その生傷が乾ききってしまう前に、彼らはくすぶったままのエネルギーをグラウンドの上で発露する必要がある。

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