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真夏のスーパーGIIで現れた“本物”。
ハイペースを押し切ったディサイファ。  

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/08/24 11:45

真夏のスーパーGIIで現れた“本物”。ハイペースを押し切ったディサイファ。 <Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

鞍上の四位は毎年夏は北海道を主に戦っているが、デビュー25年目にして初の札幌記念勝利だったという。「勝つのは初めて。うれしかった」とコメントした。

トーホウジャッカルがブッちぎる! と思いきや。

 向正面に入り、1000メートル通過は58秒9。先頭から最後方まで15馬身以上の縦長になった馬群も、流れが速いことを示している。ハイペースでの逃げで結果を出してきたトウケイヘイローをあまり楽に行かせては危ない、と後続が追いかけた結果だろうか。

 先頭からトウケイヘイロー、ディサイファ、ラキシス、トーホウジャッカルという順番のまま、馬群は3コーナーに入った。

 3、4コーナー中間の勝負どころで、トーホウジャッカルが、前を行くトウケイヘイロー、ディサイファ、ラキシスを外からかわしにかかった。

 ――これはブッちぎるかもしれないぞ。

 と思われたのは、しかし、一瞬だった。4コーナーに入っても前をとらえられない。とらえ切れないどころか、外からラストインパクトにかわされ、つづいて伸びてくる後続にも呑み込まれそうな手応えだ。

らしくない走りに終わったトーホウジャッカル。

 直線に入ってもまだトウケイヘイローが先頭をキープしている。

 その直後につけていたディサイファが外からトウケイに並びかけ、抜き去った。

 先頭に立ったディサイファめがけ、内からラキシス、外からラストインパクトが伸びてくる。

 失速したトウケイの内のスペースをダービーフィズが突き、抜け出しをはかる。

 まだ先頭はディサイファだ。

 外からヤマカツエース、そのさらに外に持ち出したヒットザターゲットが猛然と追い込んでくるが、ディサイファの脚色は衰えない。

 粘り込みを狙うディサイファが、内のダービーフィズ、外のヒットザターゲットに並びかけられたところがゴールだった。

 勝ったのはディサイファ。ヒットザターゲットの追撃を頭差しのぎ切っていた。3着はダービーフィズ、4着ヤマカツエース、5着ラキシス、伸びを欠いたトーホウジャッカルは8着だった。

 らしくない走りに終わったトーホウジャッカルの酒井は、「いい流れのなかでレースができた。止まったのは、しんどくてやめた感じではなかった。洋芝だったからなのか、敗因はよくわかりません」と肩を落とした。

【次ページ】 前へ行った馬が崩れたことが意味する、本物の強さ。

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トーホウジャッカル
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