マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「あいつにつなげばなんとかなる」
一挙8点生んだ清宮幸太郎の存在感。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/07/28 11:00
打席での迫力満点の姿と、プレー外でのほんわかした雰囲気のギャップも清宮幸太郎人気の理由の一つ。甲子園に怪物がやってくる。
神宮に詰め掛けた28000人の「スター待望」。
それにしても、この大観衆はなんだ。
神宮の森に28000人。
気温36℃、人の熱気とグラウンドの照り返しを含んだ球場のスタンドは間違いなく40℃を超えていたはずだ。
外出は危険と天気予報も伝える猛暑の炎天に、内野スタンドは最上段まで立ち見のファンがいっぱいだ。
スター待望。
野球の世界にスターがいないのだ。野球の世界にスターがいてほしい、現れてほしい。そんな、この国の人々の「野球」に賭ける期待の大きさを実感する。
サッカーもよいが、やはり日本は「野球の国」なのだろう。大騒ぎしたくて来ている人はいない。みんな野球を、清宮幸太郎を見たくて、この暑いのに神宮へやって来た。
「そうは筋書きどおりにはいかないだろう」
実はそんな思いで見ていたこの夏の「清宮幸太郎、甲子園参上」が現実になった。
やっぱり“持ってるヤツ”ということになるのだろうが、反面、この先の課題もチラリと見せた。さらに、われわれがまだ誰も見たことのない、内角を140キロ台の速球で攻められた時の清宮幸太郎はどうなるのか――。
少々の期待と大きな心配。そんな心持ちで甲子園での彼を見つめ、見守りたい。
さあ、またこれで、甲子園がえらい騒ぎになりそうだ。