連続安打日本記録に待ち受ける「プレッシャー」。

　このモデルチェンジの効果について、田邊監督や宮地克彦打撃コーチは、「ボールを『点』ではなく『線』で捉えられるようになった」と語っている。それは、より長い時間ボールを見極められるようになったことにも結びついてくる。左打者の秋山が今季、逆方向であるレフトへの打球が多くなったのはそのためである。大袈裟に言ってしまえば、「穴が無い打者」へと変貌を遂げたわけだ。

　ヒットメーカーとして、ひとつの完成形に近づきつつある秋山だけに、まずは連続試合安打の日本記録への期待が高まる。

　33試合の頂きまであと7試合。秋山にのしかかるプレッシャーは、本人にとっても未知の世界となるだろう。

「達成してみれば『スイスイいけたかな』と感じた部分はあったけど、やっぱりプレッシャーはあった」

　記録保持者の高橋氏は、自身の経験をかつてこう振り返っていた。重圧と、それをハネのけて新記録を樹立できた要因についても、記憶を手繰り寄せてくれた。

自分のバッティングを貫けば、結果はついてくる。

「30試合あたりになると記者とかが一気に増えてきて、チームが勝っても負けてもその話題ばかり。自分では意識していなかったつもりでも、周りがそうなっちゃうとどうしても気になる。フォアボールだと1打席無駄になる。2、3打席打てなかったら『セーフティバントでもやってみようか』とか、普段ならやらないような場面で、違うことをやろうとしてしまったりね。だから、最後の3試合くらいは『よっしゃ、この打席で打ってやるぞ』って気にはなれなかった。

　なんで記録を達成できたのか？　って聞かれると困るんだけど、当時は若かったし勢いもあったと思う。だけど、プレッシャーがあるなかでも自分のバッティングを貫けたことが一番だったんじゃないかな」

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