野球クロスロードBACK NUMBER
西武・秋山翔吾の打撃は「神の領域」。
連続安打日本記録まで、あと7試合。
posted2015/07/06 11:20
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Hideki Sugiyama
西武・秋山翔吾の記録達成の瞬間は、2打席目に訪れた。
7月3日。ロッテ戦の2回、唐川侑己の高めに浮いたストレートを捉え、鋭いゴロでライト前に運んだ。
これで24試合連続安打。
1986年に石毛宏典、'99年に松井稼頭央が残した23試合を抜く球団新記録を達成した秋山だが、その性格を「実直」や「真面目」と周囲から評されるように、喜びの言葉も謙虚そのものだった。
「記録を残しても試合は続くわけですし。ただ、ライオンズというチームで尊敬する先輩たちの記録を超えられたというのはすごく嬉しいことです」
「何を更新してもゴールじゃない」とは言うが……。
翌日は5打数1安打、5日も4打数1安打と、記録を26試合に伸ばした。'79年に広島の高橋慶彦が樹立した33試合連続の日本記録が射程圏内に突入してきたわけだが、秋山のリアクションはそっけない。
「何を更新してもゴールじゃないんで。試合は続いていきますから」
最近では、連続試合安打について質問されると彼は決まってそのように答える。
しかし、ファンは秋山の「ゴール」に期待せずにはいられないのだ。
5日現在で打率は3割7分9厘。首位打者争いではソフトバンクの柳田悠岐とハイアベレージの攻防を繰り広げている。それでも、安打数は12球団でもダントツトップの130本。2010年に阪神のマット・マートンが達成した214本のシーズン最多安打を大幅に更新するペースで快音を響かせている。連続試合安打とシーズン最多安打。このふたつが秋山の「ゴール」だとファンが考えるのも、当然といえば当然だろう。
田邊徳雄監督が「神の領域に達している」と称賛するように、とにかく今季の秋山の打撃は神がかっている。
ましてや、プロ入り後の4年間の成績が凡庸だっただけに、その覚醒がもたらすインパクトは計り知れない。