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成績と投票数の乖離が大きいセ。
オールスター中間発表に見る“迷い”。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2015/06/25 11:50

成績と投票数の乖離が大きいセ。オールスター中間発表に見る“迷い”。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

DeNA打線の中軸を担い、オールスター中間発表・最終回ではセ・リーグ三塁手1位となったバルディリス。ただ実は、今季の成績は今ひとつ。球団自体の人気が投票結果に繋がっている。

DeNAと広島の観客動員の伸び率が凄い。

 むしろ、最終中間発表で1位に1人しか選出されなかった巨人(中継ぎ投手部門=山口鉄也)、阪神(遊撃手部門=鳥谷)や、1人も選出されなかった中日、ヤクルト、ロッテが危機感を持たなければいけないのだろう。

 ヤクルト野手陣は川端、山田以外でも、18本塁打、48打点で二冠トップに君臨する畠山和洋が一塁手部門で4位に甘んじている。畠山は個性的な風貌と打撃フォームで人気者になる要素を備えているが、“何となく人気がない”チームの現状に足を引っ張られている。

 中日も、チームの不振が選手の人気に影を落としている。外野手の平田以外でも、先発部門の大野雄大はリーグトップの7勝を挙げながらファン投票は4位、現在首位打者のルナにいたっては三塁手で5位の得票にとどまっている。

 巨人、中日、阪神、ヤクルトといえば'90年以降の過去25年間、セ・リーグの上位に君臨してきた球団である。それが今年に限っては、広島、DeNAにファン投票で後れを取っている。

 6月16日現在のセ・リーグ観客動員の1試合平均は1位巨人4万1520人、2位阪神3万9150人、3位広島2万9212人、4位中日2万7857人、5位DeNA2万4670人、6位ヤクルト1万9645人と上位に伝統球団が並んでいるが、前年比の伸びはDeNAの+27パーセント、広島の+19.2パーセントが圧倒的である(3番目に高いのは+3.9パーセントのヤクルト)。セ・リーグに人気逆転の波がひたひたと押し寄せてきているようではないか。

巨人、阪神は若手の野手が育っていない?

 DeNA、広島と巨人、阪神をくらべてわかるのは、野手陣の顔ぶれの違いだ。DeNAは筒香嘉智、梶谷隆幸という活きのいい若手がチームを引っ張り、広島は今季不調だが、菊池、丸がリーグを代表するチャンスメーカーになっている。

 それに対して巨人、阪神のレギュラー野手には年齢的な若さも活きのよさもない。巨人はこれまでチームを引っ張ってきた阿部、村田修一、高橋由伸が明らかに後退期に入り、脂が乗っているはずの中堅、長野久義、坂本勇人には覇気が感じられない。

 阪神はさらに厳しい。チーム打率.232はリーグ最下位である。野手は毎日試合に出場することが可能なポジションで、投手以上に球団の人気度を左右すると言われている。それが打撃成績には福留孝介、ゴメス、鳥谷、マートンが17~20位、上本博紀が22位とベテラン・中堅が下位に名をつらねている。チーム順位が2位と言っても、交流戦でセが44勝61敗と大負けした中で唯一10勝8敗と2つ勝ち越したことによる順位の繰り上がりで、チームとしての勢いがあるとはいい難い。

【次ページ】 DeNA梶谷「パ・リーグの投手のほうが球が速かった」

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