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「バイクのポテンシャルを超えた」
若き天才マルケスのジレンマとは?
posted2015/06/06 10:40
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
若き天才マルク・マルケスが、第6戦イタリアGPで転倒リタイヤに終わった。
レースは終始ホルヘ・ロレンソが独走。
マルケスはその後方でアンドレア・イアンノーネ、ダニ・ペドロサ、バレンティーノ・ロッシと2位争いを繰り広げ、グループのトップに立ったレース終盤にフロントのグリップを失って転倒した。
MotoGPクラスを走るようになってからマルケスが転倒したレースは、それほど多くはない。
デビューした'13年は、2番手を走行していて転倒したイタリアGPの1回だけ。
'14年はサンマリノGP(再スタートして15位)とアラゴンGP(再スタートして13位)、そしてオーストラリアGPの3回だが、すべて優勝争い、もしくはトップを走っている状況での転倒だった。
昨年は10連勝、今年は6戦を終えて1勝。
それが今回は3連勝を達成のロレンソから大きく遅れ、2位争いでもイアンノーネに何度も先行される苦しい状況での転倒だった。これで今年2回目のノーポイントのレース。
1回目は以前にもこのコラムで触れた、第3戦アルゼンチンGPでのロッシとの接触転倒だった。
これはロッシの巧妙な走りに誘発されての接触転倒なのでマルケスに責任はないとしても、今回は2位争いからなかなか抜け出せず、もがき苦しんだ挙げ句のノーポイントだった。
昨年、開幕から10連勝を達成したマルケスが、今年は6戦を終えてわずか1勝。
総合ポイントでも、開幕から6戦連続表彰台のロッシに49点差。ヨーロッパラウンドに入って3連勝と勢いに乗るロレンソにも43点差をつけられて総合5位に甘んじている。
「マルケス、どうしちゃったんだ。これで3連覇は難しくなったんじゃないか……」と思う人は多いはずだ。