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元日本代表、現さいたま市議1年生。
都築龍太が語る転身の理由と「夢」。
posted2015/06/02 10:30
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Takashi Shimizu
4月12日の統一地方選に当選し、さいたま市市議としてのスタートを切った都築龍太。2011年春の埼玉県議員選挙にも立候補したが落選。2度目のチャレンジで議員の座を手にした。
都築は、長崎県の国見高校から1997年にガンバ大阪へ加入し、日本代表にも名を連ねるGKとして活躍した。2003年に浦和レッズへ移籍すると、2007年のAFCチャンピオンズリーグ優勝などに貢献した。2010年に湘南ベルマーレへレンタル移籍後、2011年に浦和との契約も満了し、引退を表明。その直後に県議選挙へ立候補している。
「1月末で契約が終わり、その後1カ月くらいは浦和ユースで練習をさせてもらいながら移籍先を探したけれど、見つからなかったんです。『都築は大丈夫か?』とクエスチョンマークのつく評価しか得られず、(獲得してくれる)チームがなかったのは、僕がやってきたことのすべて。カテゴリーを下げて、たとえば社会人チームでプレーすることも考えたけど『その状況でモチベーションが維持できるのか?』、『自分の色を消してまで現役を続けられるのか?』と考えて、引退することを決めました」
素っ気ないことはあっても、気遣いができる一本気な男。
プレーヤーとしては高い評価を得ていたが、同時に、監督と衝突しているのでは、などとその性格面を疑問視する人たちもいたのだろう。
しかし取材者の立場から見ると、メディア対応が素っ気ないことはあっても、礼儀正しさや細かい気遣いができる一本気な男だと感じていた。そんな都築の素顔に触れた人たちから、「議員になってみないか?」と声をかけられたというのも、今思えば納得ができる。ただ、彼がそれを受け入れたことは不思議ではあったけれど……。
「パーティなどで出会った議員の方と交流があったんです。でも政治家としてというよりも、その人間性に興味があった。いっしょに居ても政治の話をすることはありませんでした。現役時代から、立候補しないかと誘ってもらうこともあったけど『無理、無理』という風に断っていたんです。でも、移籍先が決まらず引退を考えているときにちょうど地方選挙(県議会議員選挙)があった。応援してくれるという人たちもいて、新しい挑戦をするチャンスが訪れたなと思ったんです」