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元日本代表、現さいたま市議1年生。
都築龍太が語る転身の理由と「夢」。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakashi Shimizu
posted2015/06/02 10:30
すっかり議員らしい姿になった都築龍太だが、話し方や表情の端々に、現役時代以来の芯の強さが見え隠れする。どんな第二の人生が彼を待ち受けているのだろうか。撮影協力:浦和ロイヤルパインズホテル
一度目の選挙は「落選してよかった」。
「2回目の選挙を前に自信になったのは、町を歩いていて知っている人が増えてきたということ。駅へ向かうまでにすれ違う人たちと挨拶ができる関係が作れたんです。自分はここで生まれた人間ではないけれど、この4年間動いてきたことで成果として、繋がりを実感できて本当に良かったと思えました」
そして、見事に当選を果たす。
「周りの人の力で当選させてもらえたという感覚です。自分が頑張ったことなんて、1%くらいじゃないかと思います。4年間、ずっと支えてくれた地元の人たちのおかげだと思っています。もし一度目の選挙で当選していたら、僕はひどい人間になっていた気がするんです。選挙なんて簡単だと思っていたかもしれないし、今頃はもう辞めたいと言っていたかもしれない。だから、落選して良かったと思っています」
「今はルーキーシーズン前のキャンプみたいな状態」
当選してホッとしている? 一山越えた感じはある? そう聞くと、都築は苦笑いを浮かべた。
「越えたかどうかもわからないですね。当選して、また悩んでいる。新しい森に迷い込んでいるというか、わからないことが多い状況です。でもだからこそ、やり甲斐も感じています。1つでもやりたいことが出来たり、いろいろなことがわかってくれば、また新しい目標や夢が生まれてくるのかもしれない。それが向上心だと思うんです。今はまだ自分がどういう風になるのかわからないから。
今の自分は、高校を卒業してプロになったときと同じような気分です。3年間くらいは、試合に出てもいいプレーなんて絶対に出来ないと思っていた。でも段々と試合に出続けられるようになり、経験を積めば自信もついてくる。今はまだ、議員としてはルーキーシーズン前のキャンプみたいな状態ですから」