前半40分過ぎ、FCソウルに与えたPKは……。

　藤春廣輝が相手を倒してPKを取られた。前半の終了間際に同点に追い付かれるのは、ガンバにとってダメージが大きい。一方、FCソウルは同点に追い付けば、勢いづいて後半に挑めることになる。だが、彼らはそのチャンスをフイにしてしまった。FCソウルはPKを外し、逆にガンバは前半45分、倉田秋のゴールで相手を一気に突き放したのである。遠藤は言う。

「この展開がポイントになったね。PKは気を付けていたセットプレーで取られたんで防げたものだし、あそこでPKを入れられていたら、まだ分からない状況になったかもしれない。でも、相手が外して逆に2点目を奪えたことで、ほぼゲームを終わらせることができた。時間帯も良かったし、後半にいい形で繋げられるゴールだった」

　後半、FCソウルは攻勢に出る。終盤はセンターバックを上げてパワープレーに転じた相手に2点を返されたが、何とか冷静に対応できた。むしろ相手が焦っているのが分かって、遠藤はラッキーだと思っていたという。

「今は強くなったというか、普通にやれば勝てる感じ」

　そのままガンバは3－2でFCソウルを破り、ベスト8進出を決めた。こうして海外のチームに対して落ち着いた試合運びをして、勝ち切れるようになったのは、なぜなのか。

　ACLがスタートした2月末、チームはまだ眠りから覚めたばかりの状態で、フィジカルの強い相手に力で押し切られた感じが強かった。

「単純に言えば、そういうこと。最初はチームが完成していなくて、相手の勢いにやられた。でも、徐々にACLの戦いに慣れて、守備を含めチーム状態がよくなり、安定した戦いができるようになった。今は強くなったというか、普通にやれば勝てる感じになってきているんで、そこが最初の頃とは違う」

　遠藤の言う「普通」というのは、ガンバのチーム力を計る意味で重要なキーワードになる。チームの調子がいい時、また昨年、3冠を達成した時も後半戦は「普通にやれば勝てる」と何度も同じ言葉を繰り返していた。“普通”イコール“今のチーム状態”にそれなりの手応えを感じているということなのだ。

「昨シーズンのいい頃と比べてもしょうがないけど、いい感じになってきている。それ以上になればリーグ戦とACLも獲れると思うんで、もっと上を目指していきたい」

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