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なぜ岩村明憲は独立リーグへ?
選手兼監督、そして福島の希望に。
posted2015/05/26 10:40
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Genki Taguchi
昨年7月に福島県初の県民球団として誕生し、今年からBCリーグに参入を果たした福島ホープス。だが、球団創設1年目ということもあり、その船出は決して順調ではない。
これまで23試合を戦い、成績は7勝14敗2分(全て5月24日現在)。福島ホープスが所属するFUTURE-Eastでは最下位に甘んじている。
だからといって、そのままずるずると下位に低迷し続ける気配かと言えばそうではない。
チーム浮上の可能性――。それは、選手兼任監督を務める岩村明憲の存在にある。
昨年までのプロ18年間で日米通算1585安打、209本塁打と実績は申し分ない。BCリーグでもまだ出場機会こそ多くはないが、11打数6安打6打点と存在感を示している。
ただ、これまでの試合を振り返ると、選手としてよりも指揮官としての手腕にこそ、岩村の信念は強く現れていると感じさせられる。
「野球で福島県を盛り上げたい」
岩村の原点はそこにある。
「福島県にホープスが根付くまでは尽力したいですね」
福島と岩村の縁は浅くはない。メジャーから日本球界に復帰し、楽天に移籍した2011年、シーズン開幕前に東日本大震災を経験した。昨年ヤクルトを戦力外となり、間もなくして福島ホープスからオファーが届いたわけだが、NPB時代から被災地の復興に力を注いでいた岩村だけに、断る理由などなかったはずだ。それは、本人の強い想いからも納得できる。
「県民の皆さんから『福島に来てくれてありがとう』と言っていただくたびに身が引き締まりますし、グッとくるというかね、喜びも感じます。だからこそ僕らは、福島のために何ができるか? を最優先に考えて戦っていかないといけません。ホープスというプロ野球チームを福島で成功させる。地域密着を果たせなければ県民の皆さんに愛されませんからね。それを実現するために、僕の18年間の経験を生かして全力でぶつかっていく覚悟はありますから。微力かもしれないですけど、福島県にホープスが根付くまでは尽力したいですね」