スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
本命の低迷と穴馬の大躍進。
~インディアンスとアストロズの明暗~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2015/05/16 10:40
オークランド・アスレチックス戦で、3ランホームランを打ったホゼ・アルトゥーヴェ(中)を祝福するマーウィン・ゴンザレス(左)とクリス・カーター(右)。
打たせて取る投手には悪夢の守備陣。
30球団を見渡してみると、これが高いのはレイズ(7割3分4厘)やロイヤルズ(7割3分3厘)だ。一方、インディアンスは6割4分1厘と群を抜いて低い(30位)。つまり、クルーバーのようにゴロやライナーを打たせてアウトを取りたい投手にとっては、足を引っ張られている気分になってもおかしくない。序盤戦は堅調だった彼が味方のザル守備に落胆し、徐々に戦意を失っていったと推察するのは、あながちうがった見方といえないのではないか。これはチーム作りの根幹にかかわる問題だけに、インディアンスの低迷は思ったよりも長引く可能性がある。
凄まじく弱かったアストロズが快進撃。
一方、だれもが虚をつかれたのは、アストロズの「意表をつく快進撃」だろう。ご承知のとおり、ここ4年間のアストロズは凄まじく弱かった。2011年以降の成績を振り返ると、
'11年 56勝106敗
'12年 55勝107敗
'13年 51勝111敗
'14年 70勝92敗
というため息の出そうな数字が並ぶ。年間平均負け数は104。ただ、ホゼ・アルトゥーヴェ、ダラス・カイケルといった若手の急成長もあって、2016年あたりにはそろそろ地区優勝争いに食い込んでくるのではないかという見方がもっぱらだった。
だが、「まだはもうなり」である。マリナーズやエンジェルスといった強敵がひしめくア・リーグ西地区にあって、アストロズは堂々の首位を走っている。それも内容が凄い。ロードで12勝4敗、1点差ゲームが8勝2敗、延長戦が3勝0敗。勝負強さがピカイチなのだ。
アストロズの魅力は長打力だ。カイケルとコリン・マキューを2本柱とする投手陣も好調だが、エヴァン・ギャティス、クリス・カーター、コルビー・ラスムス、ルイス・ヴァルブエナ、ジョージ・スプリンガーといった打者が一気に伸びてきた。