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セリエA4連覇目前+CL準決勝進出。
ユーベを束ねるテベスのカリスマ性。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/04/28 10:30
パンツの中にしこんだおしゃぶりでゴールパフォーマンス。そんな意外な一面も、テベスの人気の理由だ。
「俺たちは、まず魂で、それから両脚で戦ったんだ」
この最強の助っ人を御するには、生半可な指導者では務まらない。今季から歴史あるユベントス一家の舵取りをまかされた大親分アッレグリは、優男然とした見た目とは裏腹に、猛者たちを飼い慣らす術を心得ていた。
ASモナコとのCL準々決勝1stレグをホームで戦ったユーベは、微妙な判定のPKによって辛くも先勝したが、相手のフィジカルとカウンター攻撃を警戒するあまり、委縮したプレーに終始した。
試合後のアッレグリは、試合内容への批判に耳を貸さず、毅然と「娯楽(=楽しいサッカー)が見たければ、サーカスにでも行ってくれ」と言いきり、チームに迷いを与えなかった。
モナコでの2戦目に、テベスは胃の不調を我慢してフル出場した。敵地でしぶとく0-0のドローに持ち込み、ユーベにとって12年ぶりとなる大会セミファイナルへの切符をもぎとった。
「シーズンも今頃になれば、誰も完調の人間なんぞいやしねえ。俺たちは、まず魂で、それから両脚で戦ったんだ」
テベスは今季、1988日ぶりにCLでのゴールを決め、長かった負のサイクルに終止符を打った。ユーベもまたベスト8の壁を乗り越え、昨季までのチームにあった欧州カップ戦への苦手意識をようやく払拭した。泥臭く勝ち進むユーベが、欧州の本舞台に帰ってきたのだ。
CL準決勝進出で、ユーベは1000万ユーロを手に。
CLの準決勝進出は、クラブにも多大な経済的恩恵をもたらした。UEFAからの分配金ボーナスと大会のマーケットプールが加算され、スタジアムでの売上が上乗せされた結果、約1000万ユーロの収入増が見込める。加えて、上場しているユベントス株価は、モナコを下した翌日の市場で48%も急騰した。
テベスこそ、ユベントスにとって“金の卵を生む雌鶏”だったのだ。