韓国には「この選手を潰せば」という発想がある？

　この結果の裏には、柏がチーム全体で徹底するはっきりとした狙いがあった。選手取材エリアで話を聞いた柏のボランチ栗澤僚一は、冷静かつはっきりとこう言い切った。

「韓国勢はずっと勝ってきている相手なので、苦手意識はない。自分たちがやることをやれば勝てるという自信がある」

　全北を相手にした場合、「やること」とはこういう内容だという。

「速いパス交換でフリーの味方選手にボールを預けながら攻撃を組み立てていく」

“パス交換から攻める”という発想は、Jリーグの他のチームと大きく変わらない。しかし、これは常に思うようには行かない。JリーグとKリーグのチームでは守備の感覚が違うからだ。

「Jリーグでの守備のやり方は、ボールを奪うというよりスペースを埋める傾向が強い」

　逆に韓国は「捨て身の守備」が目立つと栗澤はいう。

「ボールを取ろうとかではなく、この選手を潰せばどんどん自分たちのペースになっていくという発想があると感じる。こちらがかわしたな、と思った後でも体を当ててくる」

　だからこそ、「正面衝突」すべき状況では真っ向からぶつかる。フィジカルコンタクトを前面に押し出してくる相手に対して、逃げるだけの戦い方はしない。柏の戦いぶりからはこういった点を感じる。

176cmの藤田優人が、187cmのイ・ドングへ！

　実際に22日の試合の前半、印象的なシーンがあった。

　相手ストライカーのイ・ドングが柏の右サイドに流れてボールを受けた。右足でクロスを上げるか、中にドリブルで切り込むか。いずれかのプレーを選択しようとしていた。

　ここに立ち向かったのが、右サイドバックの藤田優人だった。猛然とイ・ドングに対し体を当てにいった。これにより、タッチライン際でボールを持ったイはどんどん後方に追いやられた。最後には藤田を腕で必死に振り払い、無難に中につなぐだけのプレーに終わった。176cmの藤田が、韓国のなかでも恵まれた体格として知られる187cmの大男を明らかに嫌がらせた瞬間だった。

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