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ジュビロ名波監督の理想形、見えた!
J2序盤の大一番制した戦術の核心。
posted2015/04/27 11:25
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
ジュビロ磐田とジェフユナイテッド千葉のJ2首位攻防戦。結果は2-0。4月26日に行われたJ2序盤戦の大一番を制したのは、名波浩監督率いる磐田だった。
ボール支配率はおそらく6-4程度で千葉の優勢。それに比例して、シュート数でも磐田の「8」に対して「16」と、千葉が大きくリードした。
しかし、試合は磐田の「快勝」と言っていい。攻撃的か守備的か、優勢か劣勢かの表面的な内容ではなく、ピッチ内における主体性を発揮し、要所でゲームをコントロールするという実質的な内容で上回ったのは磐田だった。
名波監督がポイントとして指摘したのは、1点をリードして迎えた後半の試合運びについてである。
「後半、時間が経つにつれて後ろ(守備)に重くなってくるところを、センターバックの藤田(義明)と伊野波(雅彦)を中心に2メートル、3メートルにこだわってラインコントロールしてくれた。選手交代に伴って相手の“立ち位置”が変わったと思うが、GKのカミンスキーを中心に守備の意識を強く持ち、中にいる選手たちがジャッジした結果として、カウンターから2点目が生まれたと思います」
目の前にある状況を、選手がどう「ジャッジ」するか。
キーワードは、指揮官が口にした「ジャッジ」という言葉だ。目の前にある状況に対して、ピッチの中にいる選手たちがどのように判断し、やるべきことを決断するか。あるいは、目の前にある状況から予想して、次にやるべきことをどのように判断し、選択するか。その積み重ねが、磐田を勝利に導く原動力となった。
指揮官が名前を挙げたDF藤田に、試合を振り返ってもらった。
――今日の試合に関しては、森本貴幸とのマッチアップを想定していたと思います。彼の欠場で逆に戸惑った部分はありませんか?
「イノ(伊野波)と一緒に、森本とペチュニクのビデオを見て対策を練ってきたのですが、基本的には、相手がオナイウ(阿道)でもやることは変わりません。イノとの連係において、アタックとカバーの関係をはっきりすること。ペチュニクは常にセカンドボールを狙っている選手なので警戒していましたし、その上で、ラインを高く保つことを意識していました」