沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
世界の大舞台で、芝と砂の王者対決!
ドバイWCデーと高松宮記念を総展望。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/03/28 08:00
キャリア14戦目で初のダート出走となるエピファネイア。ジャパンカップ王者として、どんな走りをドバイで見せるのだろうか。
スミヨンの進言でダート出走を決断したエピファ。
エピファネイアは、ジャパンカップを勝ったとき手綱をとったクリストフ・スミヨンの進言でここを使うことにしたという。「世界のスミイ」の管理馬で、外国人騎手を背にしたクラシックホースというと、'11年にこのレースを勝ったヴィクトワールピサとイメージが重なる。活力がありすぎて道中行きたがるエピファは、パワーが求められて抵抗の強いダートで、しかもアメリカの速い馬がいると、確かに折り合いやすいだろう。
だが、舞台がダートとなると、砂の質がどうあれ、中央と地方両方のダートで天下を獲った「砂王」ホッコータルマエに一日の長があるのではないか。力のいるコースはやはり先行有利になりやすい。強力な推進力を武器に、地方の深い馬場で他馬を圧倒してきたこの馬が簡単に沈むとは思えない。
ともかく、異種格闘技戦ではないが、ジャパンカップの覇者と東京大賞典を連覇した馬のガチンコ勝負を見られるのは、ドバイならではだ。ほかにも、ケンタッキーダービーを勝ったアメリカのカリフォルニアクロームなど強い馬はいるが、「エピファネイアとホッコータルマエの対決を楽しむレース」ととらえていいだろう。
シーマクラシックの2頭も、順調な仕上がりを見せる。
ドバイシーマクラシック(メイダン芝2410m、GI)に出る日本馬も強力だ。ダービー馬ワンアンドオンリー(牡4歳、父ハーツクライ、栗東・橋口弘次郎厩舎)と、桜花賞馬ハープスター(牝4歳、父ディープインパクト、栗東・松田博資厩舎)である。
父仔制覇がかかるワンアンドオンリーは、13着に惨敗した有馬記念以来3カ月ぶりの実戦になる。しかし、休んだことはマイナスではなく、リフレッシュ効果が期待できるプラス要素と見ていい。橋口調教師が感心するほど輸送や環境の変化に動じず、絶好の状態で本番を迎えられそうだ。
ハープスターは、凱旋門賞6着のあと、ジャパンカップと京都記念はともに5着と結果は出せていないが、人間と同じで、牝のほうが「旅」による環境の変化に強い。強いどころか、変化を好んでいるのではないかと思う牝馬もいる。日本馬初の海外GI制覇を遂げたシーキングザパールがそうだった。調教では本来の切れを取り戻しつつあるようなので、こちらにも期待したい。
そして、UAEダービー(メイダンダート1900m、3歳GII)にはタップザット(牡、父タピット、栗東・池江泰寿厩舎)、ゴールデンバローズ(牡、父タピット、美浦・堀宣行厩舎)、ディアドムス(牡、父ジャングルポケット、美浦・高橋裕厩舎)の3頭の日本馬が参戦する。なかでも有力なのは、芝の新馬戦で2着に敗れたあと、ダートで3連勝、それもすべて圧勝というゴールデンバローズだ。新馬戦と2戦目で騎乗したライアン・ムーアの手綱さばきも見モノである。