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今Jリーグで最も見ておくべき選手!?
横浜FM・アデミウソンは超万能FW。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byAFLO
posted2015/03/16 11:40
アデミウソンは1994年生まれの21歳。2014年にはU-21代表としてトゥーロン国際大会でチーム得点王となり、ブラジルの優勝に貢献した。
アデミウソンの非凡さを示すふたつのプレー。
2つのプレーを例に挙げる。
まずは、前半20分のこと。
ペナルティエリア外側やや左でボールを受けたアデミウソンが、左サイドに流れた兵藤慎剛の勢いを殺さない絶妙なタイミングのパスを通す。兵藤のクロスは右に流れたものの、再びそのボールを拾った小林祐三の動きを予見するかのように、アデミウソンはゴール中央へと走り込む。相手DFに寄せられて体勢を崩しながら放ったシュートは、ゴール右隅をついていた。アデミウソンは攻撃の起点からフィニッシュまで、幅広く関与したのだ。
続いては、55分のこと。ペナルティエリアやや外から兵藤が地を這うミドルシュートを放ち、GK権田修一が間一髪弾き出した決定機だ。
兵藤へのラストパスは左サイドにいた藤本淳吾が送ったものだったが、その藤本がフリーになる状況を作ったのは、アデミウソンのダイレクトパスだった。さらにこのパスに、藤本が蹴りやすいように絶妙なスピンがかかっていたことも見逃せない。
個人での突破より、連動性を大事にしているのか?
味方を生かすプレーの多さを見て、シンプルな疑問がわいた。
アデミウソンは個人での突破より、連動性を大事にする選手なのか?
試合後、アデミウソンに聞いてみた。
「そういうコンビネーションは意識しています。やっぱり、一人ではプレーできないので。常に自分だけじゃなくて、周りの味方と一緒にプレーする必要があります。彼らは自分を手助けしてくれるし、自分も周りを手助けする。これからはコンディションだけではなく、そういった連係面も高めていきたいです」
55分の決定機だけでなく、試合を通じて精力的な動きを見せた兵藤もアデミウソンをこう評している。
「アデミウソンは、使ってくれるところは使ってくれますね。日本に来て1週間という限られた中でも、(タイミングを)合わせてくれました。攻撃の起点、ターゲット役としてボールを収めてくれましたね」
兵藤の言葉が象徴するように、高い技術を持つアデミウソンは前線でボールを収めつつ、テクニシャンにありがちな球離れの悪さを感じさせることもなかった。それが結果的に、横浜FMの攻撃のスピードを加速させていた。
その辺りが先に記した“オスカルっぽく”映った理由なのだと思う。