サッカーの尻尾BACK NUMBER
リスボンで評価が分かれる田中順也。
突出する、練習でのあるデータとは。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2015/03/11 16:30
今年1月11日に初ゴールを挙げた田中順也。現在リーグ戦3得点だが、出場機会は増えてきているだけに、まだまだ伸びていきそうだ。
田中が最も悔やんでいる試合とは?
彼が最も悔やんでいるのは、先発した2月末のヨーロッパリーグ第2戦、ヴォルフスブルク戦のことだ。アウェーでの第1戦に0-2で敗れていたスポルティングは、最低2点をとらなければならなかった。
この試合、田中はチームメイトの誰よりも走り、誰よりも多くのチャンスを手にした。しかし3度訪れた決定的なチャンスを決めることができず、チームはEL敗退が決定。試合後には田中が天を仰ぐ写真がメディアの一面に掲載された。
田中が決めていれば……。
その後はエースFWのスリマニが負傷から復帰し、先発の座に返り咲いている。ジルビセンテ戦で得点し、結果を出したことで一度手にしようとしていた先発の座は、再びエースのもとへ戻ることになった。
田中が突出している、練習でのあるデータ。
スリマニとモンテーロと1枠を争うスポルティングの前線のポジション争いは厳しいが、田中の頭の中には、自らがやるべきことがはっきりとしている。
「前で動き回ってチャンスに絡む回数では自分が一番だと思っているし、これからもそこを出していきたい。誰とでも合わせられるFWにならないといけない。そして、出場時間が短い中でもくさらないこと。今季はベンチ外が続くことも多かった。それでも腐らずに、練習から全力で取り組んでいる。それは海外のFWにはない部分かなと」
クラブ関係者に、ある練習でのデータを見せてもらった。
そこには今シーズンを通して行なわれている、8対8でのミニゲームの結果が、個人別に数値となって表れている。
その中で突出した数字を出しているのが田中だった。シーズンを通して40点台を記録しているのは田中だけで、同じくFWのモンテーロは20点台、スリマニは10点台に留まっている。
チームメイトはこれらの練習で見せる田中の姿勢を知っている。だからこそ、出場時には短い時間の中でもパスを引き出せ、多くのシーンで決定機に絡むことができているのだろう。